junhara's blog

３月１０日東京大空襲

　東京大空襲がテレビで何回も放映された。東京大空襲のアニメ「ガラスのうさぎ」も５月には公開されるらしい。６０年目の節目だからだが、３０年目、５０年目の節目の年に、これだけ多くのテレビでの露出、イベントがあっただろうか。
　私も下町生まれである。東京大空襲でわが家も焼けたはずだ。その時、私はまだ０歳だったから記憶はない。青梅に疎開していたせいか、親や年上の兄弟に当時の思い出を聞いたこともない。記憶に残っているのは焼け跡のガレキの中で遊んだことだけだ。
　親がなぜ東京大空襲の話を子どもに話さなかったのか、は分からない。親が亡くなる前になぜ聞いておかなかったのか、悔やまれるが、子ども時代、下町ではなぜか東京大空襲が話題にのぼることはなかった。
　数年前、近所の小学校から戦争のことを話してくれないか、という依頼があり、教室で３月１０日の大空襲の話をしたことがある。子どもたちの父兄にはもう戦争のことを話せる人がいない、ということだった。ジャーナリストの特技を使って、記憶を補うための取材をしてから出かけた。
　一晩で１０万人が死んだこと、日本人の戦意をくじくための無差別爆撃だったこと、戦後、親を亡くし、住むところも食べるものもない子どもが上野駅の地下街にあふれていたこと、などを話した。その後、先生が子どもたちに書かせた感想文を見せてくれた。
　子どもたちはみな私の話をよく理解してくれていた。そんなにひどいことがあったなんて信じられない、といいながらも。
　焼夷弾、疎開、ゲートルなど当時の言葉そのものがいまや子どもたちには理解できないのでは、と心配する声がある。でも言葉は説明すれば子どもは理解する。子どもたちに事実を伝える社会の努力不足こそ私は心配である。
　

恩義ある中国の養父母に

　ＮＨＫスペシャル「大地の子を育てて」を見た。中国残留孤児を育てた養父母がおかれた現実を改めて知らされた。日本語がままならない帰国孤児たちの多くは、生活保護でしか生活できない。老いた養父母の見舞いに帰国する費用は生活保護費から削られる。中国に残された養父母をどうするのか、政府は何も対策がない。
　朝日新聞のデータベースで残留孤児と養父母をキーワードで記事検索をしてみた。すると５００件以上の記事が出てきた。中国に残した養父母を救いたい、彼らの恩義に報いなければならない、という関連記事がこれだけ書かれている。それでも政府は動こうとしない。日本政府はそんなに冷たい政府だったのか、といやになる。
　今朝、やはりテレビ朝日の番組で、雇用保険から莫大なお金が支出され、利用されないままただ同然で売却されたリゾート施設などの話が放送されていた。何千億円もどぶに捨てたという解説がついていたが、責任者はだれも責任を取ろうとしない。その一部だけでも恩義ある養父母の世話の費用に回せたら、イラクに派遣する自衛隊の費用をごく一部でもこちらに回せたらと思う。
　数年前、やはりＮＨＫで「大地の子」という中国残留孤児をテーマにしたドラマが放映された。みな涙を流した。だから中国残留孤児問題はみな知っているはずだ。それでも解決につながらない。
　北朝鮮に拉致された被害者の世話には熱心な政治家と政府。それに引き換え、中国残留孤児問題にはあまりにも冷たい。テレビも新聞もこれだけ報道しているのに、何もできない。日本はいつから恩知らずの国になってしまったのだろうか。