国会質疑はテレビ向けなのか

臨時国会のテレビ中継を見た。いつものことだが、すっきりしない質疑ばかりだった。菅さんの答弁もさえなかった。攻めには強いが守りには弱い性格のようだ。
  気になったのは自民党の若手議員。総理、閣僚を見て質問するのではなく、中継のテレビカメラに向かって質問している。そっぽを向いて質問してくる相手にまともに答える人はいるだろうか。テレビ中継を通じて自分を国民に売り込みたい一心が丸見えでみっともない。私が答弁する立場だったら、「あなたは誰に向かって質問しているのか、テレビに質問しているなら私は答えない」というに違いない。
  議員もジャーナリストも質問は職業上の有力な武器。記者会見で相手を見据えず、そっぽを向いて質問したら、まともな答が返ってくるわけがない。その議員は弁護士出身らしいが、法廷の流儀を国会に持ち込んで通じると思っているのだろうか。与党と野党の真剣な質疑が国会本来の役割である。テレビを通じて自分の主張をアピールしたいならテレビタレントにでもなったらいい。
  質問を補足するパネルもよく用いられる。だがテレビ画面を通じて見ても参考になるパネルにはほとんどお目にかかれない。文字が小さすぎたり、図表などが何を意味しているのか、さっぱり分からなかったりするものが多い。
  議員がテレビ中継を意識するあまり国会質問がつまらなくなっている。テレビで顔を売り、次の選挙を有利にしたい議員の気持ちは分からないではないが、質問の迫力、中身が低下するようでは本末転倒。国会中継でテレビを意識しすぎる議員は次の選挙で落選させた方がいい。