NHKを見ていたら、FMトランスミッターの半導体を開発しているベンチャー企業の社長を、プロフェッショナルという番組で紹介していた。携帯に組み込んで年末商戦で発売するらしい。この機能が組み込まれると、携帯でダウンロードしたデジタル音楽を、近くのFMラジオまで微弱電波で飛ばし、再生することができる。
デジタル音楽プレーヤーからFMラジオに転送するトランスミッターはわが家にもあるが、音質がいまいち。アンテナとFM受信機の位置関係が微妙で、どういう状態でも転送可能というわけではない。見てくれはマッチ箱みたいで、クールとはいえない。
最初は面白がってカセットテープの再生機能しかないカーオーディオに転送して使ったが、今は利用していない。新製品がどんな状態でも転送可能で音質に変化がないとすればヒットするに違いない。いやヒットして欲しいと思っている。
みながヘッドホンやイヤホンでデジタル音楽を聴くようになり、わが家でもFMのオーディオ機器はほとんど利用されなくなった。音量が大きくなるから近所迷惑という事情もあるが、音楽は1人でひっそり聴くものになった。子どもがどんな音楽に興味を持っているのか、同じ家に住んでいて分からない。音楽を周りの人と一緒に楽しみ、共感することがない。そんな状態は、音楽の文化的機能をある意味で失わせているのではないか、とさえ感じる。
トランスミッターでデジタル音楽をオーディオ機器で聴くようになると、再び家族で音楽が共有される時代に戻れるのではないか、と思う半面、うるさくて訳の分からない音楽はやはりやめてくれと子どもを怒鳴るか、そのどちらかだろう。いやウォークマンが出た時から音楽シーンは1人で聴くものに変わったのだから、トランスミッターが出ただけでは何も変わらない、という見方もできるだろう。
それにしてもいい音楽は耳に何も付けず、ソファでゆったりと聴きたいものだ。
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