過疎地、離島などの加入電話サービスを維持するためユニバーサル基金が創設され、(NTT加入者には2月から、非NTT加入者は1月から)携帯や固定電話1回線あたり月額7円が徴収される。この基金からNTTにユニバーサルサービスの維持費、つまり赤字補填の費用が支払われる。NTT加入者も例外なく負担するのだが、NTTの固定電話加入者が同じ7円を負担するのは実はおかしい。
過疎地の電話サービスが赤字になる要因は何か。もともと加入者の少ない地域は建設費も保守費も割高である。かつては都市部などで得られた収益で赤字を補填していた。NTTの内部相互補助である。
そこに非NTTの新規参入と携帯電話の普及で、NTTは通話量を奪われ、競争のため値下げを余儀なくされた。収益部分の利益が減り内部相互補助が難しくなった。
ユニバーサルサービスの維持が困難になった原因は新規参入と携帯であることは明らかである。NTTには合理化努力が求められるにせよ、原因者が負担するのがユニバーサルサービスの原則である。
過疎地の電話料金はもともと優遇されている。基本料が都市部より安いのだ。これも赤字要因の一つだが、都市部のNTT加入者が過疎地のサービス維持に補助をしてきたともいえる。NTT加入者から7円を追加徴収するのは二重取りである。
NTTに支払われる基金は年間150億円くらいだが、その半分はNTT自身が負担している。自分で自分の赤字補填していることになる。NTTも対抗値下げしているから原因者だという見方もできるが、本来はNTTからおいしいとこ取りした新規参入者の収益から支払われるべきだろう。
過疎地のユニバーサルサービスを入札制にし、最も安い費用で提供できる企業に基金から補助することを検討している国もある。また固定電話がなぜ必要最低限のサービスなのか、についても議論の分かれるところである。携帯会社に義務づけたっておかしくはないし、その方が利用者にはありがたいかもしれない。
なぜNTTがこんな不合理を認め、利用者に転嫁するのか、分からない。よけいな摩擦を総務省や非NTT系電話会社、携帯各社と起こしたくない心理が働いたとしたら、NTT利用者への背任である。
たかが7円されど7円、とどこかの新聞社が解説していたが、NTT利用者への転嫁が理屈に合わぬとは書いてなかった。
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。