ICPFでも議論を重ねてますが、最近著作権をめぐるシンポやセミナーが盛んです。先週23日慶應大学三田キャンパスで開かれたセミナーもほぼ満席の盛況でした。つい数年前までだれも関心を示さなかったのに、隔世の感があります。
先週のテーマは、米年次改革要望書にある著作権の保護期間延長と非親告罪化に対して、日本はどう答えるか。米国の要求にただちに応える必要はない、というのが会場の雰囲気でしたが、私には腑に落ちないことがあります。そもそも米国の要望書が出たのが2002年。つまり5年前なのに、なぜ今まで問題にならなかったのかという点です。もちろん文化庁の審議会で延長論の審議が始まったからではありますが、映画の保護期間延長は2004年に延長が決まっています。映画と他の著作物はどう違うのか、なぜその時、同時に全著作物の保護期間延長問題が議論されなかったのか。映画に触発されて他の著作物も延長しようという仕掛けをだれかが思いついたのか。そんな憶測も湧きます。
米国と地理的にも文化的にももっとも近いカナダはまだ延長していないそうです。いろいろな基準を世界と共通化することはもちろん大事ですが、だれのための共通化なのか、をまず考えることが必要です。著作権保護の延長は消費者の利益、文化の発展に寄与するかどうか、の視点で考えるしかありません。
以下はICPFからのお知らせです。
第5回ICPFシンポジウム「デジタルコンテンツの流通を促進する著作権制度のあり方について」
ICPFでは、第19回セミナー(07年6月開催)から3回連続して、著作権制度のあり方について議論を重ねてきました。その集大成として、第5回シンポジウム「デジタルコンテンツの流通を促進する著作権制度のあり方について」を開催致します。
<日時> 9月21日(金)14:00~17:00
<場所> 東洋大学・白山校舎・6号館6204教室
東京都文京区白山5-28-20
<スケジュール>
14:00 開会および問題提起
山田肇(ICPF事務局長・東洋大学教授)
14:10 パネリストによる見解の表明
パネリスト:
岸博幸(慶應義塾大学デジタルメディア・コンテンツ統合研究機構・特別研究准教授)
甲野正道(独立行政法人国立美術館本部事務局長兼国立西洋美術館副館長、文化庁・前著作権課長)
津田大介(IT・音楽ジャーナリスト)
野方英樹(社団法人日本音楽著作権協会企画部部長)
林紘一郎(情報セキュリティ大学院大学副学長)
モデレータ:
山田肇(ICPF事務局長・東洋大学教授)
15:25 休憩
15:40 討論(会場との意見交換を含む)
17:00 閉会
<入場料>
2000円 ※ICPF会員は無料(会場で入会できます)
★申し込みは[email protected]まで、氏名・所属を明記してe-mailをお送り下さい。
(先着順100名で締め切ります。)
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