世界中の書籍をデジタル化しどこでも読めるようにするグーグルのブック検索をめぐって日本国内でも著作権者の反発が出ているが、絶版になった昔の本がPCで読めるようになることに私は基本的に賛成している。しかし、著書もある私としてはグーグルの和解案の説明、検索ビジネスの進め方がよく分からなくて困っている。
和解案に賛成するにしても拒否するにしても、まず自分の著書がどこまでデジタル化されているのか、調べる必要がある。グーグルの版権管理レジストリとかいうデータベースにログインして調べてみた。
私の名前で検索すると1996年NTT出版刊「情報通信ビッグバン」、2006年洋泉社刊「ネットがテレビを飲み込む日」、1997年富士通経営研修所刊「社会情報学のダイナミズム」の3冊が出てきた。これらの書籍はデジタル化されデータベースに登録されていることが分かる。しかし、1982年朝日新聞社刊の「コンピューター社会学」は検索に引っかからなかった。
グーグルは日本の大学図書館と提携して和書のデジタル化も進めている。だが、80年代に出版された本はまだデジタル化されていないらしい。
私が一番デジタル化して欲しいと考えているのは、「コンピューター社会学」と「病気とお金」という本だが、いずれも検索で出てこない。デジタル化されていないのか、デジタル化されていてもデータベースに載っていないのか、どちらなのかは分からない。
というのはグーグル検索で「コンピューター社会学」を検索すると、同書の一部が見えることがあるから、データベースで出てこなくてもデジタル化されていないとは言い切れないのだ。グーグルには登録されていなくてもどこかでデジタル化されているかもしれない。著者の知らないうちにデジタル化されているのは気持ちいいものではない。
グーグルは和解案の中で、デジタル化を拒否するか、認めて和解に賛同するか、を求めているのだが、とにかくグーグルのブック検索をめぐる説明が分かりにくい。法律用語が多いせいか、和解案の日本語訳がとにかくひどい。和解内容をきちんと把握して翻訳しているとは到底思えない。
わけの分からない説明では賛同したくても賛同したくなくなる。それに賛同も拒否も期限が設定されている。理解できないままでは期限までに賛同も拒否もできない。著者の多くは出版社に任せるしかないかもしれない。日本では出版社と著者の権利関係があいまいだから、著者が泣き寝入りすることになりかねない。
それに絶版とは何かもあいまいなままだ。「コンピューター社会学」のような新聞連載を出版した場合はどうなるのか。分からないことが多すぎる。
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