近所といっても地下鉄で一駅離れた比較的大型書店に、ある新書を買いにいった。古い出版だから書棚にはない。店内には客が在庫を検索できる端末が3台並んでいる。端末はタッチパネル式でキーボードはない。書名は長いからまず著者名で検索した。著者の名前の読みが分からない。音読みと訓読みの両方で検索したが見つからない。しかたなく長い書名で検索した。すると小さい「よ」がパネルのどこを探しても見つからない。仕方なく大きい「よ」で入力検索すると、初期画面に戻ってしまう。頭にきて端末をぶん殴りたくなったが、ぐっとガマンした。
サービスカウンターのお嬢さんに検索を頼んだ。あっという間に検索結果が出た。カウンターの向こう側にある端末はキーボードで入力できるのだ。
在庫はないが、取り寄せられるという。何日かかるかと聞くと週末になるという。その日は月曜だったからまる1週間じゃないか。無料で配達してくれるのか、と重ねて質問すると、「いえ500円かかります」。
こんな商売してたらアマゾンに負けるのは当たり前じゃないか。思わずお嬢さんに言ってしまった。「あなたたち若い人が知恵を出してアマゾンに負けない書店経営を考えないとだめだよ」。
書店が出版不況とアマゾンの追い上げで苦境に陥っているのは今に始まったことではない。書店にはオンライン書店にはない良さがある。目的の本だけでなく関連する本を近くに置くなどして客の興味を広げる。平積みにして何が売れ筋か一目瞭然にする。書店の哲学を表す陳列方式が考えられる。
書店の検索システムを顧客にもオンラインで開放し、配達と組み合わせたら、年寄りには便利である。いくら以上買った客には配達を割り引いたり、無料にするとか知恵があってもいい。近所のスーパーだって即日配達するサービスをしているのだから、提携していち早く配達することだって考えられる。
地域の書店が撤退して、大型の書店が生き残っているが、何も経営努力をせず、小さい書店の犠牲の上に生き残っただけなら、何をかいわんやである。
リアルな書店は取り寄せのスピードを売りにしているわけではないと思うので、その点をもって「amazonに勝てない」というのはあまりにも稚拙な主張だと思います(パソコンをうまく使えない高齢なお客様や子供などに対して、お取り寄せのサービスを提供しているのでは?)。
逆に、「この店に来れば、気分で選ぶだけでいい本に巡り会える」あるいは「この店で本を買う事に価値を感じる」というようなユーザエクスペリエンスを提供できていなければ、リアル書店としては駄目なのかなと思います。
個人的に、ヴィレッジヴァンガードはどの店舗も面白いですし、街の本屋さんでも丁寧なPOPを作ったり、あんま売れてないけどいい本をそっと平置きにしてくれているようなお店には通うようにしています。もちろんamazonでも買いますが。
分野は変わりますけど、タワーレコードの試聴機に似てるのかも。
投稿情報: ななし | 2009年6 月16日 (火曜日) 23:38
うーん、
馬に向かって、
お前達、自動車に負けるんじゃないよと
諭しているがごとし。
今の時代から見たら、そんなの無理ですからともう結論が出ていますね。
投稿情報: 雲のパン屋 | 2009年6 月16日 (火曜日) 23:03