細川元首相が都知事選に立候補する。小泉元首相と連携して脱原発を訴えるとメディアは伝えている。
原発立地県の知事が原発の立地や稼動に大きな発言権を持つのは確かだが、電力消費地の知事がどれだけ脱原発に影響力を及ぼせるのだろうか。
脱原発は選挙の争点にはならない。前回の衆院選、参院選でも実証された。脱原発を公約に掲げた政党は軒並み負けた。
東京でも都民は同じ投票行動をとった。国政選挙と知事選で異なる投票行動をとるだろうか。
都知事が脱原発を公約に当選すれば、国政に大きな影響力を持つ、と小泉さんは語っているが、自民党は脱原発と原発推進で分裂するだろうか。
都は東電の大株主。その部分では影響力を発揮できる。脱原発の一般株主と協力して株主総会で脱原発を決議できるだろうか。たぶん過半数は取れない。
都民に原発で発電した電力を買わないように推奨すれば脱原発の圧力になるが、そのためには発送伝分離や電源別料金制度が必要になる。
それでも都民は原価主義で安く設定される原発を買い、あえて高い自然エネルギーの電気を選ぶ人はどれだけいるだろうか。
都ではいままで太陽光発電に補助金を出してきたが、原発を代替できるほどの規模にはとうてい及ばない。
都が東電からいっさい電力を買わない。都は自分で発電するか、自然エネルギー発電会社から電力を購入する手もあるが、とりあえずの電源は火力しかない。
伝えられる公約では、東京を世界で冠たる省エネ都市にするそうだが、具体的にどうするのか、まだ分からない。
つまるところ、都知事にできることはそれほど多くはない。だが、都知事が脱原発を宣言する意味は大きい。安全が確保できた原発から再稼動を認めるなどとあいまいな政策でなし崩し的に再稼動を画策する安部政権より少しはましだ。
原発がなくても日本は成長できる、と小泉さんはいっている。その道筋は容易ではない。時間もカネもかかる。何より経済人を含め日本人がその気にならなければできない。細川、小泉連合がどう訴えるのか。
子々孫々に迷惑をかける放射性廃棄物を生み続けて、楽な現代生活を送るのか。それとも少しはガマンして子孫に住みよい日本を残すのか。都知事選は哲学の争いにするしかない。
平和憲法と同様、ガマンしてでも子孫に住みよい地球を残す哲学を生み出せれば、人類史への大きな貢献になる。
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