台湾総統選挙で野党の蔡英文さんが圧勝した。勝利したものの中国との関係に配慮して、独立色を打ち出さなかった。
戦後いつからか中国はひとつだという観念が世界に広まった。日中国交回復した時も日本政府は中国に配慮して台湾との外交関係を断ち、経済文化面に限定した。中国共産党のプロパガンダが成功したのだと思う。
歴史的に中国はホントにひとつだったのか。中国を初めて統一したのは秦の始皇帝だが、統一前は、楚、燕、斉、韓、魏、趙などという国に分裂していた。
その後も統一されていた時代は案外少ない。他民族に征服されていた時代、元や清の時代もある。まして満州、台湾は統一中国に組み込まれていた時代は極めて短い。
チベットやウイグルも歴史的、文化的、民族的に中国の一部だといえるのか。ウイグル、チベットには、いまでも中国に反発する動きがある。
英国から中国に返還された香港。一国二制度などというまやかしの約束で返還されたが、いつのまにか中国の枠組みに取り込まれた。
中国の外交がうまいからだろうが、台湾が中国を警戒するにはわけがある。
英国でもスコットランドの独立をめぐって国民投票があった。かろうじて統一派が勝ったが、いまだに独立の動きはくすぶっている。
台湾と中国はついこの間まで海峡をはさんで砲弾を撃ち合っていた。1960年代半ば、私が台湾旅行をした時も砲撃しあっていた。
当時から世代交代は進んでいるから、国共内戦の記憶は薄れているだろうが、中国はひとつなどというプロパガンダを信じる台湾人は少ない。
学生時代、台湾独立運動の指導者の一人で日本に亡命していた人がいた。もう亡くなっているだろうが、その子供や孫たちはいまどう考えているだろうか。
他民族国家をまとめる力は何だろうか。武力?経済力?文化力?周辺異民族がいま中国から離れない理由は経済力によるのだろう。中国にくっついていれば経済的に豊かになれる。だが、その肝心の中国経済にいま不安がある。
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