週刊朝日がサラ金の武富士から5000万円の取材協力費をもらいながら、ほっかむりしていた問題を週刊文春が報じてから、古巣の朝日がどう対応するか見つめていた。社内調査の結果を週刊朝日が報じた記事を読んだが、ひいき目に見ても納得できる内容ではなかった。文春のその後の続報で朝日OBがそろって、対応のまずさを指摘し、社長退陣を求めている。
実は私も朝日ジャーナル副編集長として2年ほど週刊朝日と同じ出版局に在籍したことがある。当時週刊朝日は出版局の稼ぎ頭で、ジャーナルは赤字のお荷物編集部だった。それでも社外から取材協力費などもらったことはなかった。いつの間にタイアップ取材などという広告主との悪しき慣行ができたのか、理解に苦しむ。
ほっかむりが社内で表面化した後、対応策を常務会が検討したのは事実らしい。とすれば当然社長はじめ役員全員が事実を知っていたはずである。その席でなぜ事実を社内外に明らかにし、5000万円を返却する決定ができなかったのか、不思議でならない。
社内調査の結果は不手際があったというだけで、協力費そのものの是非、協力費を返却するかどうかには触れていない。ほっかむり、猫ばば状態はいまも続いている。
週刊朝日が取材協力費をもらった当時は出版不況の真っただ中。貧すれば鈍するというが、そこまでジャーナリズムとしての感覚が鈍っていたのかと思うと朝日OBを名乗るのが恥ずかしくなる。
NHK不祥事の時、海老沢会長は改革を進めることが責任を取る道だと、地位に綿々としたことが批判を浴びた。今回は経営陣の判断ミスそのものであり、NHK海老沢会長の居直りよりたちが悪い。ジャーナリズムの範も示せず、部下にだけ責任を取らせる経営者はメディアのトップにふさわしくない。
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