光ファイバーを入れてもインターネットの体感速度が速くなった実感がない。わが家にはもう一本12メガのADSL回線がある。それと比較して、体感速度はあまり変わらない。こんな実感を持っている人は少なくないのではないか。
速度測定をすると確かに速い。ADSLの数倍の速度が出ている。しかし、その実感が伴わない。ホームページの表示には時間がかかるし、ダウンロード時間もさして短縮されたとは思えない。速度測定はいったい何を測定しているんだ、と思えてくる。
この原因はどこにあるのか。端末の処理速度が遅いからか。ISPがインターネットにつなぐパイプを絞っているからなのか。ルーターの能力が不足しているのか。ISP同士が相互接続するIXの能力不足なのか。分からないことばかりである。
一般ユーザーには原因を突き止められないもどかしさがある。ウェブサイトからどのような経路で、どのような流通速度で情報が流れてくるのか、知る方法がない。責任者を追究する手段もない。ベストエフォートだから仕方がないとあきらめるしかないのか。
道路なら、渋滞情報がラジオで流れる。ほぼリアルタイムで知ることができる。しかし、インターネットの渋滞情報はなぜ流されないのか。渋滞情報を収集し分析する手段がないはずはない。
今までアクセス手段を高速化すれば、より豊かなインターネット生活ができるとみな信じていた。通信事業者はいまだに増速競争に余念がない。高速道路さえ建設すれば日本は豊かな国になれる、国民は豊かさを実感できる、と思っていたら、あにはからんや、渋滞で利用者のいらいらは募るばかりだった、というのと同じような現象が起きている。
日本の経済力が国際的に評価されて円が高くなった。だが国民はその実感をいまだに感じられないでいる。わが家に光が来て、分かったのは、アクセスをいくら高速化してもインターネット生活の豊かさを実感するに至らないという冷たい現実だった。
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