ドコモモバイル社会研究所のシンポでもうひとつ面白い発表があった。慶応大学の田中辰雄助教授が、WINNYのダウンロード回数とCD売り上げ枚数との相関を調べた研究だ。楽曲別に毎週末、ダウンロードと販売枚数のデータをとり、グラフにプロットすると、両者に相関関係はなく、買いたい人は買っているのが実情という推定が成り立つ結果が出たそうだ。
以前からWINNYなどP2P技術とCD販売減少との因果関係はないといわれていたが、それを統計的に裏付けたことになる。
しかし、ソニーの人からは、最近始まった商業音楽ダウンロードサービスとの相関関係を調べないと不十分なのではないか、との指摘が出た。
私も、邦楽CD販売の不振はヒット曲の減少、販売価格の高止まりなどが原因で、P2Pとの相関はないのではないか、と疑っていたが、裏付けるデータはなかった。アップルの音楽ダウンロードサービスが世界で3億曲に達したというニュースもあった。1曲99セントという手軽なダウンロードサービスの価格、一定程度のコピーを許可する販売方法も、膨大なダウンロードにつながっているといわれる。著作権保護の強化だけが音楽業界の利益につながる、という思い込みを音楽業界に払拭してもらうには、また、私たちが手軽に音楽を楽しめる環境を作るためにも、突っ込んだ研究を続けてしてほしいところだ。
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