退職後5カ月間、失業保険をもらった。失業保険をもらうと公的年金はもらえない。どちらも現役時代に積み立ててきたものだから、併給禁止はおかしいと思うが、それよりもっとおかしいと思ったことがある。失業保険の支給に関する制度は労働意欲をそぐという点だ。
ハローワークに行くと最初に、講義がある。失業保険は再就職を支援する制度だから、求職活動をしないともらえない、という原則の説明がある。毎月2回は求職活動をしないといけない。活動記録を提出しないと保険はもらえない。実際に求職活動したかどうか、ハローワークは求職先に確認するらしい。嘘がバレると保険はもらえない。
ここまではまあ納得できる。だが、保険をもらっている間にアルバイトをするとその収入は保険から差し引かれる。また、事業を起こそうとする人は最初から保険はもらえない。起業する人は半年やそこらで収入が得られるはずがない。しかし、保険はもらえない。いったい、なぜだ。
どこでどう失業保険受給中の収入を補足するのかは分からない。国税庁からオンラインで所得を把握しているとすれば、個人情報の目的外利用になるから違法だ。でも収入があればちゃんと差し引かれる。
これでは失業保険受給中は働くな、といっているに等しい。働いたら収入は差し引かれ、働かなくても同額の保険は出る。働いたら損になるとはいわないが、働いても働かなくても同じなら、だれも働かない。私も働かなかった。
ある人の紹介で4月から某大学で非常勤で働くことになった。内定したのだから、求職活動はその時点で中止した。しかし、窓口の担当者は、内定後も求職活動記録を書けというので、思わず怒鳴ってしまった。「内定後に求職活動する馬鹿がどこにいるか」と。
かつては寿退社でも半年くらいは失業保険がもらえた。いまではどうなっているのか、は分からないが、少なくとも現在の制度は、定年後起業しようとする人、少しでも家計の助けになればとアルバイトをする人にとっては、何の助けにもならない。
先輩の多くは、窓口での対応にプライドを傷つけられ、失業保険受給をあきらめる人が多いと聞いていた。担当者の馬鹿な質問に私も思わず、「それならいらん」と叫んでいた。
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。