メール問題について民主党の記者会見をテレビで見た。お粗末民主党のひとことに尽きる。永田議員はまだメールがホンモノだと信じているようだった。ならなぜ謝罪するのか。ホンモノだと信じる根拠について、同議員はメールを提供した仲介者が信頼できる、文面が詐欺的な内容ではない、口座情報など周辺情報もある、などをあげていた。だが、ジャーナリストの常識では、それらの情報だけで、真実と信じるにはいかにも甘すぎる。
ジャーナリストの常識から考えておかしいと思うのは、まず、仲介者が信じられる人であったとしても、元の情報提供者に接触していないのはなぜか。身の危険があるからといわれて接触しなかったらしいが、そうした危険を回避しつつ接触する手はいくらでもある。ホリエモンから自民党関係者への資金提供があってもおかしくない状況証拠があったとしても、ジャーナリストなら、何のための資金なのか、なぜ提供先が幹事長の息子なのか、なぜ銀行振り込みなのか、なぜライブドアは息子の口座番号を知っているのか、などの疑問が湧き、それらを確認する。だが、会見ではどのような疑問を持ち、どのように確認をしたのかも分からなかった。
周辺情報もあるというが、それらも仲介者からの情報である。単一の情報源だけで、真実と思いこんだ議員の情報感覚を疑わざるをえない。
ジャーナリストはしばしばこの手の情報提供、つまりたれ込みを受けて、取材活動を始めることがある。その場合、必ず複数の情報源から事実を確認する。それを裏取りというが、他社に感づかれないよう、情報提供者に迷惑がかからないよう、細心の注意を払いながら取材する。
だからこそ、報道の結果名誉毀損などがあったとしても、真実と思うに足る情報を得ていれば、裁判でも免責される場合がある。国会議員は国会での発言で訴追されることがない。ジャーナリストよりはるかに有利な立場にある。検察に直接、メールの真偽を確かめることだってできるはずだ。
それにしても議員たちは、ネット上でうそ八百の詐欺メールが飛び交っていることを知らないのだろうか。発信者を偽るなりすましも横行している。これらのメールをspamというが、私のもとに来るメールの半分はspamである。おれおれ詐欺よりもっとたちの悪いフィッシングも横行している。重要なメールは真実かどうか必ず電話で確認しなければならない。
何事も信じられない時代になったことは寂しいが、情報の真偽をだれもが見極める能力を高めなければならない時代なのだ。自民党も民主党を笑ってばかりはいられない。
こんにちは、犬笠銀次郎です。
斯様なメディアリテラシーの問題は、国会議員のみならず国民も考えるべき余地のある問題では無いでしょうか? 日本では記者クラブで権益を守られる大手に批判が集まる事はほとんどありません。(放送法下で権益を守られるテレビも同様)
投稿情報: 犬笠銀次郎 | 2006年3 月 5日 (日曜日) 01:24