GOOGLEの考え方というICPFシンポが29日開かれた。通常のシンポの2倍ないし3倍の参加者があり、熱心な質疑が続いた。シンポが終わった後も参加者が、講演した村上憲郎グーグル社長に行列をつくって質問、名刺交換する光景が見られた。なぜグーグルはこんなに人気があるのか。
村上社長の講演はあらまし次のようなものだった。
グーグルの社員は現在7000人。半分はコンピューターサイエンス専攻の技術者。会社の使命は世界の情報を整理することだ。様々なサービスを無料で提供しているが、あくまで検索技術が基礎にある。無線LANサービスを無料で提供するサービスは、米国の一部で始めたが、あくまで社会貢献の一環であり、下位レイヤーのサービス(インターネットアクセスサービス)を提供するつもりはない。
グーグルのインデックスから削除する、つまり検索対象からはずす場合は次の3つの原則に限られる。①犯罪にからむサイト、具体的には児童ポルノ、麻薬、賭博、テロリズムに関連する場合。国別では仏、独ではナチスを称賛するサイト、日本では架空口座に関するサイトが削除される②グーグルの検索ロボットをだますスパム関連サイト③特定の人の権利を侵害し、名誉棄損している場合。中国進出に当たり、当局の要請で反政府サイトの検索をできなくしたのは、①のケースに当たる。社内でも忸怩たるものがあり、大激論があった。
グーグルは広告会社になるつもりはない。図書館の蔵書のデジタル化は進めているが、著作権が残っているものは作業を中断している。日本の図書館ではフォント、ルビなどデジタル化する上での問題が解決できていないのでまだ進めていない。
検索結果のさらなる品質向上のためには、検索する人の個人情報を収集する必要があるが、承諾を受けた人だけを対象に実験は進めている。
あらまし以上のような話だったが、会場からグーグルはどこまでビジネスを拡大するのか、広告モデルはどこまでもつのか、といった質問が目立った。
シンポ終了後個人的に村上さんが話してくれたこと。グーグル、スカイプなどのネットサービス会社が批判を受けるようになったネットただ乗り論について、村上さんは、電力、ガスと同じように、情報流量をメーターで計測するしかない、と話していた。ネット定額制に行き着く先はやはり従量課金なのか。そこがグーグルの成長の限界なのかもしれない
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