5日朝日夕刊に、近未来通信の詐欺的商法が生まれた背景は、規制緩和で多くの通信事業者が参入、実態がつかめないためだ、という記事が載っている。総務大臣は類似の事件を防ぐため電気通信事業法改正が必要だと言い出した。朝日と総務省が規制緩和路線見直しで連携しているようだ。
通信業界には、長らくがんじがらめの事前規制がかかっていたが、2004年の事業法改正で、事後規制になった。つまり自由に参入、撤退できるし、認可もほとんど不要になった。20年来の業界の悲願が実現した。
記事は、その結果事業者が多くなりすぎ、総務省には実態が把握できないから、詐欺的商法に対応できない。だから実態把握できるように規制を強化しろというのである。
よく考えてほしい。規制緩和で日本の通信はどれだけよくなったか。インターネットアクセス料金は世界最高水準の安さ。サービスも充実してきた。まだ足りない部分はあるが、規制緩和で競争が激化したおかげだ。近未来通信が提示した料金よりはるかに安くて良質のサービスがすでに実現している。今回の事件は、こうした事実を知らない欲の皮の突っ張った投資家たちの自業自得である。責められるべきは総務省の監督不行き届きなのだろうか。
かつて、事件が起き、だれに責任があるかという問題になると、メディアは官の責任を追及する癖があった。それを口実に官は規制権限を拡大させ、何をするにも不自由な社会を築き上げてきた。官とメディアの共同作戦が不自由社会日本をつくったともいえる。
規制緩和路線でその不自由さがようやくほぐれてきた。この時期に、また昔の不自由日本に逆戻りしようというのだろうか。メディアが官の責任を追及すべきは、社会保険のずさんな運営、自治体の腐敗構造などまだ他にたくさんある。
メディアが官を批判しているように見えて、実は裏で連携している時、読者は警戒する必要がある。
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