反捕鯨団体シーシェパードが日本の調査捕鯨に反対し、実力行使に出た。日本側にけが人が出たことから日本側は警告弾を発射、応戦しているらしい。
ここまで実力行使するからには、彼らには確信があるのだろう。鯨を殺すのは可愛そうだ。鯨の命を救えるなら何をしても許される。そんな正義感があるのだろう。かつて太平洋の鯨を捕獲しまくった米国の歴史を彼らはどう総括しているのだろうか。食糧ではなく、ランプ用の鯨油をとるためにだけ捕獲したのが米国の捕鯨の歴史だと聞いている。ジョン万次郎はその捕鯨船に救助された。戦後の食糧難時代、給食に出た鯨肉で育った世代としては、複雑な思いがある。
いまや飽食の現代日本。南氷洋まで行って捕鯨を続ける理由は何なんだろう。調査捕鯨とはいったい何なのか。世界中が魚を食べ始め、漁業資源の不足が心配されるようになり、再び鯨肉にタンパク源を求める時代が来ることを予想してのことだろうか。捕鯨の技術を温存しておかないと、いざという時、間に合わないから。
現在、バイオ燃料大増産のため、小麦もトウモロコシも大豆も価格が急騰している。その影響で乳製品も肉の価格も上がっている。日本人がタンパク源を再び鯨に求める時代が来ないとは言い切れない。
国際捕鯨委員会は過去何十年も捕鯨、反捕鯨の議論を続けているが、一向に収束しない。まるでイスラム教とキリスト教の文明の対決のようである。国際的な場面で科学的かつ客観的データを基に冷静な議論をすることの難しさをこの問題は改めて示している。環境だ、自然保護だといって実力行使する前に、もっと広い立場で科学的議論をしてほしい。
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