この冬、ふくらはぎに湿疹ができた。めったにかからない医者にかかった。乾燥する冬に出てくる慢性の湿疹で副腎皮質ホルモンの入った軟膏を塗ればすぐに治っていた。しかし、今年はその薬も切れていた。水疱もでき、かゆくてたまらない。仕方なく医者に診てもらった。例のクスリを出してくれるものだと思っていた。
ところが、その医師はラップみたいなものを患部に貼るだけ。様子を見ましょうといってクスリを出してくれない。聞くと、水疱のようなものには白血球が入っていて、自分で直そうとするものだから、無理に取り除いてはいけないというのだ。完治させるにはこの方法がいいから、クスリは出さないと宣告された。
それから1週間、ラップだけで経過をみた。最初は白血球軍団がラップからはみださんばかりに増え、かゆくてたまらなかった。1週間後、きれいに治ってるじゃないですか、といわれた。あとはこのクスリを風呂上がりに塗りなさいと例の軟膏を処方してくれた。治ってからクスリをもらってもうれしくない。
昔、道修町の製薬会社を担当したことがあるから、医者の経営の裏側は知っているつもりだ。製薬会社から安いクスリを仕入れ、患者にはクスリをいっぱい出して薬価との差額でもうける。それが医院経営だったはず。患者はクスリ漬けになり、医療費は高騰する。自然治癒を待つ治療ではもうけにならない。窓口で払った治療費は1回350円。これで食っていけるのかこちらが心配になった。
医は仁術といわれながら医は算術時代がずっと続いた。まだ赤ひげ先生は健在だった。
治ったころテレビで同じ治療法が普及し始めたというニュースを見た。老人の床ずれややけど治療にも、家庭用のラップを貼って、自然治癒を待つ方法があるのだそうだ。
私は昔から風邪をひいても酒を飲んで寝て直す主義。よほど高熱でも出ないとクスリは飲まない。医療費の圧縮に貢献しようなどとは思っていないが、クスリに頼らず、安あがりにかつ安全に治療する方法があるなら、もっと普及させるべきだ。後期高齢者保険制度で老人から保険料を取る前に、厚労省はもっとやるべきことがあるのではなかろうか。
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