病後のリハビリ中だから、この夏はオリンピックのテレビ中継をよく見た。期待通り活躍した選手、期待を裏切った選手、両方いたが、勝敗より知りたいことがいくつかあったのに、メディアは何も教えてくれなかった。日本選手の不調より、そっちの方が私には欲求不満だった。
400メートルリレー。日本が史上初めてメダルをとったことで、メディアは大騒ぎしている。冷静に見れば他の有力なチームがバトンリレーに失敗、日本にたなぼたで銅メダルが転がり込んだにすぎない。なぜ多くの有力チームが相次いで失敗したのか、その方が知りたい。
陸上トラックで、ジャマイカのボルト選手が驚異的世界記録を相次いで出した。ボルト以外にも強い選手がいた。あんな小さな国がなぜ?。朝日の夕刊がなぜ強いのか、解説記事を載せていたが、納得できる理由は見つからなかった。
政府が育成政策をとったのか、指導者が良かったのか、民族の遺伝的要素があるのか。人口13億人の中国なら、素養のある選手がたくさん出てきても不思議ではない。中国がメダル獲得でトップになった理由はだいたい想像できるが、ジャマイカがなぜ強いのか、については分からない。中国同様成長著しいインド。人口も多いし経済力もついてきた。そのインドはいくつメダルに手が届いただろう。
最後のマラソン。トップ集団はみなケニア、エチオピアなど北アフリカの選手ばかりだった。アベベを輩出したエチオピアはその伝統があるのだろうが、食糧事情もままならない国々から、なぜこんなにすばらしい選手が出てくるのか。エチオピアとケニアでは民族的にも異なるはずだ。テレビも新聞も解説してくれない。
オリンピックはただのスポーツの祭典ではない。国威発揚の場であり、ビジネスの場でもある。勝ち負けだけで一喜一憂するのもいいが、世界で何が起きているのかをのぞく窓にもなる。マラソンに強いアフリカ。なんでそんな地域に緊急援助するの?普通のオリンピック観戦者はそう思う。スポーツジャーナリストも、勝ち負けだけ書いていればいい時代ではない。
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