日本が侵略国家だというのは濡れ衣だという論文を発表して防衛省を退職した田母神前空幕長が国会の参考人質疑に応じた。
自分の論文を発表したことのどこが悪いのか、と彼は主張した。論文の中身についての是非は歴史家にまかせるとして、軍人といえども言論の自由、思想信条の自由があるのは、彼のいう通りだ。
本人は懲戒免職も辞さない覚悟で、厳正な審理を求めた。しかし、防衛省は7000万円という退職金付きで定年退職させた。政府見解と異なる信条を持つ者を自衛隊のトップに置いておくわけにはいかない。文民統制のルールに反するという理由だ
個人の思想信条の自由と文民統制のルールとどちらが重いのか。おもしろい問題である。もちろん軍人の独走を許さない文民統制は重要なルールである。最後の実力装置である軍隊を動かす立場にある者が危険な思想信条の持ち主であるとすれば、それも怖い。かといって憲法が保証する思想信条の自由が制限されていいともいえない。
自衛隊幹部はどこまで制限されどこまで自由なのか。徹底的に議論しておくべき問題ではないのか。臭いモノにふたをするような処分はまた将来に禍根を残す。
田母神論文を支持しているわけではない。どちらかといえば政府見解を支持している。あんな論文を書く人が戦闘機やミサイルを動かせると思うとぞっとする方である。
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。