電気自動車に世間の関心が向いてきた。メディアが取り上げる回数も増えた。どのメディアも電気自動車はガソリン車に比べ、燃費、加速がいい、静かだなどの利点をあげる一方、1回の充電で走行できる距離が短い、充電時間が長すぎる、充電設備への投資が過重だなどのデメリットをあげ、普及には時間がかかると結論づける。日産のリーフ発売発表にあわせて放送された4日夜のNHK、5日の朝日新聞朝刊も同じような報道姿勢だ。
報道を見るたびに思う。なぜ蓄電池交換方式に触れないのだろうか。蓄電池が普及のネックになっていることはだれでも知っている。1回の充電で走れる距離はガソリン車の半分以下、フル充電するのに30分。これでは普及するはずはない。蓄電池の性能アップに産業界は努力しているが、性能を2倍ないし3倍にしないとガソリン車と競争にならない。ならば、蓄電池を交換する方式にすればいい、というのが普通の発想のはず。都内でタクシー会社が蓄電池交換式の電気自動車実験をしているニュースは見たことがある。車の下に収められた蓄電池を大きな装置で取り替えるシーンが映っていた。あれでは交換装置が大きすぎ、普及するとは思えない。
なぜ乾電池を交換するように、簡単に交換できる方式を考えないのか。乾電池方式なら充電時間を心配する必要はないし、交換できる場所さえ整えれば、走行距離はいくらでも延ばせる。事前に充電しておいた蓄電池をガソリンスタンドにストックしておけばいい。
車の電池スペースから充電切れのバッテリーを抜いて、充電済みを差し込む形にすれば、それほど巨額の設備投資が必要だとも思えない。どのメーカーの車にも搭載できるように、形状や容量など標準化しておけばいい。せいぜい大型車、小型車の2つくらいのの標準でいいはずだ。
蓄電池の標準化はまだ時期尚早なのかもしれないが、今後電池の小型化、大容量化が進むとしても、交換方式が優れている点は多い。現時点での問題は蓄電池の重さ。ひとりで交換するには重過ぎるかもしれない。ぎっくり腰にならないよう補助する機器を備えておく必要がある。しかし、車の底から交換する方式はいかにも考えがない。
スマートグリッドに車の蓄電池を組み込む実験も始まったが、電力が不足する日中、車から放電したら、走行する時に充電不足になる問題を指摘する意見もあるが、ガソリンスタンドに充電済みの電池があればこれも解決できる。充電済み電池に数%の利益を上積みし、放電済み電池と交換販売するようにすれば、一般家庭でも電池販売所になれる。要するに蓄電池そのものを社会で共用するインフラにすればいいのである。
交換方式を提唱する企業もあるが、自動車メーカーがなぜ交換方式を推進しないのか、不思議である。何か理由があるなら教えていただきたいものである。
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