今年の世相を象徴する漢字は「暑」だった。確かに猛暑だった。だが、1年を象徴するにはどこかおかしい。国会は暑い議論を展開しただろうか。経済界は冷たい景況が続いた。就職戦線は超氷河期が継続している。夏以外、何が暑かったのか。
そもそもこんな行事はいつから始まったのか。漢字検定ブームに便乗した企画ではなかったのか。そもそも1年を1文字で表すには無理がある。
1文字で表せるほど1年は短くはない。気候には四季がある。暑い季節も寒い季節もある。人間の社会、経済、政治活動もさまざまな局面がある。分野別にふさわしい文字を考えた方がいい。
自分なりに考えた。今年の政治を象徴する文字は「空」。国会は小沢招致をめぐって議論が空転。新政権は政策が空っぽ。経済は国際化、円高で空洞化がますます進んだ。経済を象徴する文字はもうひとつ「冷」。景気は上向きかけたが円高で再び冷え込む恐れがある。
メディアを象徴する文字は「漏」だ。警視庁の国際テロ捜査関連資料の流出、尖閣諸島沖で起きた中国漁船衝突事件のビデオ流出。そしてウィキリークスの米外交機密文書の流出である。いずれも旧メディアが新メディアに出し抜かれた。漏えいした犯人はだれか、当局は別件逮捕や適用する法律に頭を絞った。機密を守る立場の政府は罰則の強化、流出防止策の強化を迫られている。旧メディアはお株を奪われた形でその存立基盤が怪しくなっている。自由主義社会でもネット規制は今後強化されることは間違いないだろう。ネットの自由がかえってネットの自由を束縛する時代への転換点にならなければいいのだが。
世相をたった1文字で表現するなど他の漢字の国でもやっているだろうか。人も社会も多様な側面があり、日々変化していく。それをあえて1文字で固定化することは多様性を無視する態度であり、若者の一面的見方を助長する危険さえはらんでいる。
佃さん 誤字指摘ありがとうございます。訂正しました。老眼だと暑も署も区別がつきにくくて。
投稿情報: junhara | 2010年12 月10日 (金曜日) 21:56
原さん。「署」じゃなくて「暑」。
投稿情報: 佃 | 2010年12 月10日 (金曜日) 21:22