国会が始まってから、たびたびテレビの国会中継を見ている。日を追って内閣支持率が下がっている背景には、菅首相答弁の分かりにくさにもあるのではないか。野党の厳しい質問に立ち往生しているわけではないが、尻尾を捕まれないようあいまいな答弁をするだけで、明確な判断や決断、リーダーシップが感じられない。
野党時代の菅直人はどこにいった、と多くの国民が感じている。官僚いや官房が作った作文を読むだけの答弁が目立つ。聞いていておもしろくないし、国民の共感を呼ばないのである。マニフェストとは違うと追及され、野党時代の理想を語らなくなった菅直人に国民は失望している。
政権についたら理想ばかり語っていられない事情は理解できるが、理想と現実はかくも違うのだ、と正直にいわないから、失望を買うのではないか。
小泉純一郎のワンフレーズ劇場型政治には問題はあるが、小泉さんの答弁の分かりやすさは見習うべきだ。菅内閣の答弁で最も理解しやすかったのは仙石前官房長官の言葉だった。率直な発言をとがめられて首を斬られた。
民主党は官僚政治と決別するといいながら、自民党政権時代とあまり変わらない官僚的答弁が多い。党内の事情を配慮した菅発言は自民党時代の調整型リーダーの答弁と何ら変わらない。
今日も鳩山前首相の「方便」発言が国会で問題になった。言葉は政治家の武器であると同時に不用意な言葉は政治家の命取りになる。だからといって分かりにくい官僚的言葉を語ればいいことにはならない。
分かりにくい原稿は筆者がその内容を理解していないからだとジャーナリストは考える。政権党としての経験がまだ短いから仕方がない面もあるが、分かりやすい言葉で語れない政治家は、その問題を勉強していない、理解していない証明である。今国会を熟議の国会にすると菅首相はいった。でも菅首相自身、言葉尻を捕らえられることを恐れ、熟した答弁をしていない。聞いていておもしろい、分かりやすい国会質疑は内閣支持率向上につながると思うのだが、菅内閣にそういう認識はなさそうだ。
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。