朝日社会部OBが主催する市民講座「東日本大震災と福島原発事故を検証する」に出席した。連休中なのに会場はほぼ満席だった。このブログを読んだ幹事の方が、話せといってきたからだ。大学で原子力を学びながらなぜ原発記事を書くことを拒否してきたのか、を中心に話した。脱原発を実現するため、ITや新エネルギーの取材報道をしてきたが、必ずしも脱原発に成功しなかった記者人生の反省の弁でもあった。リスクを知りつつ原発を推進に協力してきたメディアの責任がいずれ追及される時が来るかもしれないとも話した。会場で最後に平井憲夫さんの手記「原発がどんなものか知ってほしい」が話題になった。
原発で長年働いた技術者の平井さんの手記だが、被曝しながら現場で働く人々が必ずしも完璧な仕事をできない環境にあり、多くのミスを重ねている実態とそれを見抜けない検査官のお粗末さが書かれている。度重なる小さな事故。このままでは大事故が起きてもおかしくないと予言していた。平井さんは福島事故の4年前に亡くなっている。原発で何が起きているのかを知ってもらうことが自分の最後の責任だといっており、遺言みたいな手記である。
津波で全電源が失われるとは予期していなかったが、平井さんのように、原発事故はいつどこで起きても不思議ではない、と予言していた技術者は少なくない。それらの証言が、なぜメディアに大きく継続的に取り上げられなかったのか。メディアで働く人たちは一度検証する必要がある。それらの検証をしなければ、原発利権とメディアは癒着しているとの批判はかわせない。
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