菅首相が記者会見して浜岡原発停止を表明した。今後高い確率で発生するであろう東海大地震に耐えうる震災津波対策ができるまでとしている。たとえ震災津波対策が完成しても他の要因で原発事故が起きないとはいえない。首相の決断は当面の停止でしかない。民主党政権は原発を廃止する気はさらさらないようだ。
浜岡から30キロに住む方から手紙をもらった。子や孫に万が一のことがあったら気が気でない、と。当面停止では気が休まるはずがない。
問題は地震津波対策が不十分だからではない。原発というリスクを子々孫々に残すのかどうかである。
膨大に膨れ上がった公的債務残高をどうするか、と似た問題でもある。財政再建をして子孫につけを残すべきではない、と考えるのなら同じように放射能のつけは子孫に残すべきではない。
原発の立地する場所がどこであろうと、原発から出てくる放射性廃棄物は子孫にとって迷惑な存在である。
地震対策が完成するまで停止という判断は判断停止と同じである。菅直人は財政再建に熱心だったはずだ。原発も同じように子孫につけを残さないという判断がなぜできないのか。菅直人は思想も哲学もないのだろうか。
これは大きな一歩ではないでしょうか。たしかに「停止」だけでは充分ではないし、防潮堤をつくれば安全かというと、そうでもない。けれども原子力利権の強大さを考えると、よくぞやってくれたと思います。しかし気になるのは周りの反応です。政治家やジャーナリストなど、昨晩のテレビや今朝の朝刊で見る限りは、東海大地震の想定震源域のど真ん中で原子力発電所を運転すべきではないという正論を正面から受け止めて発言している人は殆どいなかったように思えます。(唯一夜のTBSのニュースだけが堂々と賛意を述べていました。)わたしたちもシニカルならずに次の一手を戦略的に考えるべきでしょう。管首相の人品骨柄は脇におき、これを奇貨としない手はありません。田中秀明さんや広瀬隆氏などが指摘するように原子力発電所などなくとも電力は不足しないのですから、全ての原発を停止廃絶させるためになんとかこの次の一歩を加速させたいと思います。(この巨大な東日本大地震を予測できなかったということは、地震予測は当面無理であり、原発立地での直下型大地震がおこらないと断言することは不可能であり、全ての原発が直下型大地震の危機に曝されているという前提に立つべきかと思います。したがって、特に危険なのは浜岡かもしれませんが、停止すべきは全ての原子力発電所でしょう。)
投稿情報: TK | 2011年5 月 7日 (土曜日) 12:51
福島原発で働いていた人達が大地震で逃げ出すときの証言から、津波が襲う前に、地震の第一撃で致命的な配管類の破壊されたことがわかります。防潮堤をつくっても安全とは言えない。核燃料を撤去するまでは安全と言えないと思います。大前研一氏は3/27のyoutubeで「六ヶ所村で使用済み核燃料からプルトニウムを取り出すことはあきらめて、ロシアのツンドラ地帯の大深度地下に永久保存するしかない、100Km内に人が住んでいない場所はいくらでもある。ロシアと交渉するしかない。わたしならやる。」と言っています。
投稿情報: 田中秀明 | 2011年5 月 7日 (土曜日) 10:04