音楽ファンではないので、レコードのことはよく知りませんが、いまレコードの輸入について新しい著作権法改正の動きがあります。
この7月に出た知財戦略本部の推進計画に以下のような記述があります。
第4章です。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/kettei/030708f.html#4-2
エ) レコード輸入権
海賊版対策としても有効である海外企業との正規ライセンス締結を促進するた
め、音楽CDなどの日本への還流を止める「レコード輸入権」の是非について、関係
者間で協議が進められているが、関係者間協議の結論を得て、消費者利益等の観点を
含めて総合的に検討を行い、2004年度以降必要に応じ著作権法の改正案を国会に
提出する。(文部科学省)
こんな文言が入っていることには、私も気づかなかったのですが、公取委の本間さんが推進計画が出た直後から、指摘していました。これで邦楽の安い逆輸入ができなくなる、と。
つまり、レコード会社は自ら海外で安くレコードを制作しているのに、そのレコードを他人が現地の安い価格で買って日本に逆輸入することを差し止める権利を日本のレコード会社に認めるということです。
これは著作権法の名のもとのカルテルです。しかし、本間さんの憂慮が現実になろうとしているようです。こういう権利の立法化は不公正競争に当たるとして公取委から問題提起してもらうといいのですが、吠えない番犬、公取委ですから、そうもいかないようです。
こんなことなら、日本の音楽ファンはwinnyやwinmaxなどで、ただの音楽ソフト(現著作権法では違法)をどんどん流通させる反乱を起こすかもしれません。違法ソフトの流通は音楽の価格が高いからだ、ということはJASLAC自身が認めているのですが、既得権を守ることばかりに執着していては何も新しい解決策は生まれません。
米アップルが新しい音楽ダウンロードビジネス(1曲99セント)を始め、成功しつつあることを日本の音楽業界が知らないはずはありません。
CD店の店頭にならんでいるビートルズのlet it be nakedの価格は、国内盤と輸入盤で500円近い価格差がありました。この価格差は何?と店員に聞いたところ、中身に差はないが、国内盤には解説がついているからだ、という説明でした。
音楽ファンは解説に惹かれて高い国内盤を買うのでしょうか。
来年、国会に上程される「著作権」改正で、従来小説家などは保持できなかった「貸与権」が導入されますね。大型ビデオレンタル店が「貸し本」をはじめているための対抗策です。ペンクラブはさらに、「公共貸与権」(公共図書館などへの貸与権)を主張し、公共図書館の書籍購入を時限的(およそ6ヶ月)に禁じたり、「複本」(複数冊の購入)を認めない方向で議論されています。
デジタル放送の「コピーワンス」(@_@)・・のような発想です。
放送に載る「著作物」とされている「もの」は、基本的に「流れつづける情報」であって、「著作物」とするには無理があるものが多いように思います。逆に、どんどん「パブリックドメイン化」して流動性を高める方が「公共の利益」に適っています。
放送の制作現場は「製造業」ですから、制作コストの高い日本を離れる動きが出てくるのも、他の製造業同様に必然です。
そうなると、放送でも「輸入権」などが導入されたりするんでしょうかね??
どこもかしこも、「カルテル」がお好みで、美しくないですね。
投稿情報: kiichi uemura | 2003年11 月26日 (水曜日) 06:56