IT関係者から聞いた話だが、ブロードバンドが普及して、インターネットのバックボーンに流れるデータ量が急増している。その結果、バックボーンの光ファイバーが局所的にメルトダウンを起こす恐れがある、というのである。
光ファイバーはいままでの技術革新の結果、ほぼ無限の情報を伝送できる、といわれていたが、どうもそうではないらしい。光ファイバーがたわんだ場所で、局所的に中を通る光が発熱し、ファイバーを溶かしてしまう可能性があるらしい。
光信号はファイバーの中を反射しながら進んでいく。伝送する情報量を多くするため、最近では波長の異なる光をいくつも束ねて流すようになった。無数の波長の光がある場所で焦点を結んだら、虫眼鏡で太陽光を集め紙を燃やせるように、光ファイバーをメルトダウンさせるかもしれない。まるで原子炉の核燃料が加熱して炉心を溶かし、格納容器をも突き抜けて、地球の裏側に達してしまう、というチャイナシンドロームにも似ている。
このようなことが起こるのかどうか、専門家でもない私には知るよしもないが、光の情報伝送にもある限界が見えてきた、ということだとすると深刻な問題である。しかし、こういう事態はデータ量が現在の数万倍くらいまで増えた時のことではないか、とも想像する。そうなる前に、他のボトルネックが現実問題としては大きいのではないだろうか。
光が来たからといって、インターネットのダウンロード速度はそんなに速くなった気がしい。それはISPがインターネットへの出入口の帯域を絞っているからだ、ともいわれる。インターネット接続がほとんど定額制料金になって、データ量が増えてもISPの収入は伸びない構造になった。だから彼らはデータ量の伸びに比例して設備を増やすことができない。ISPのみならず、インフラを提供するNTTなども需要増に見合った投資ができていない。
このほかにも、ブロードバンドには技術的、経済的ボトルネックがいくつも存在するようである。これまではNTTが独占する加入者線が通信自由化のボトルネックださんざといわれてきたが、ADSLや光ファイバーで加入者線のボトルネックが解消されたら、今度は新たなボトルネックが現れたことになる。
こうした危機をどう回避するのか、を考えるブロードバンドインフラ研究会が総務省内で発足した。じっくり研究してもらいたいところだ。
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