アップルの携帯型音楽プレーヤー、iPODが日本でも売れている。品切れ状態になるほど人気がある。他の競合製品と比べて必ずしも安くはない。それでも人気がある。若者のファッションのひとつになったという解説も聞く.だがiPODで音楽を楽しむには、CDやMDから音楽をコピーするしかない。
米国ではiTunesという機能を使って自由に音楽を1曲99セントでダウンロードできるサービスがある。サービス開始以来1年ちょっとで1億曲がダウンロードされたというからすごい人気だ。
ところがこの人気のサービスがいつまでたっても日本ではスタートしない。(米国の銀行で決済できるクレジットカードを持っている人は米国からダウンロードできるが、そんな人は多くはいない)アップルのハードやソフトはほとんど日米同時発売になるのに、なぜ音楽配信サービスだけが大幅に遅れるのか、不思議でならない。
私は音楽ファンではないから、個人的には痛痒を感じないが、アップルジャパンに聞いても、理由を説明してくれない。音楽配信については日本にいっさい権限がなく、すべて米国本社で進めている、というだけだ。
日本でも1億曲がダウンロードされたら年間1億ドルの収益があがる。市場が半分だとしても50億円くらいは売り上げがあるはずだ。そういうビジネスチャンスをみすみす失っているのだから、何かそれ以上の大きな障害があるに違いない。
音楽配信をしようとした経験のあるISP元社長がこんな解説をしてくれた。
レコード会社がノーといっているのでしょう。作詞、作曲はJASRACと一括して契約できますが、歌や演奏が入っている音楽は、JASRACで一括契約ができないからです。
歌手や演奏家の権利はレコード会社が持っていて、彼らがOKを出さない限りサービスはできないらしい。日本でも音楽ダウンロードサービスはあるが、料金が1曲150円ないし250円と高い。だから普及しない。1曲99セントでサービスされたら、自分たちの音楽配信サービスが競争に負けるし、そもそもCDが売れなくなる、と思っている。それに周辺の権利を処理するビジネスが日本にはないから、おカネで解決する手段もとれないのだそうだ。
また別のネット関係者は、アップルも1曲99セントでは儲からないはず。iPODのハードで儲けているので、日本でやる気がないのではないか、と推測する。ならなぜアップルは欧州でダウンロードサービスを始めたのか、という説明にならない。
米国でダウンロードサービスはもう音楽市場の3-4%を取ったという見かたがある。いずれ大半がダウンロードサービスになるともいわれている。レコード会社は無視できないはずだ。だから自らダウンロードサービスを始めている。
しかし、日本のレコード会社が設立した着うた配信サービスの会社は不正競争の疑いで公正取引委員会の調査を受けている。どうも自分たちの既得権を守ることに汲々として、音楽ファンのことを考えていないように見える。
これだけ将来性のあるビジネスが世界第2位の経済大国日本で始まらない。何か大きな理由、タブーが裏に隠されているに違いない。
そうこうするうちに、マイクロソフトが国内レコード会社と提携して音楽配信に参入してきた。
http://www.asahi.com/business/update/1020/121.html
しかし、国内レコード会社と同じ料金水準のサービスでしかない。マイクロソフトも国内音楽業界の旧秩序を破壊する気などないようである。
このままだと、違法な音楽ファイル交換ソフトがさらに蔓延し、海外からダウンロードするファンが増えることが予想される。となると日本の音楽産業は空洞化し、レコード会社はつぶれるしかないと思うのだが。
おぐらじおさんお久しぶりです。
いつも適切なコメントありがとうございます。
私は音楽ファンではないけれど、カラオケの練習用にダウンロードしてみたい曲はあります。1曲100円なら、たくさんダウンロードして練習して、いまの若者に負けないくらい歌えるのに。
投稿情報: junhara | 2004年10 月21日 (木曜日) 01:37
僕は音楽ファンなので、個人的に非常に痛痒を感じます。というか、感じていました。
しかし、もう結構です、ってな感じで、日本のレコード会社の横暴っぷりっちゅうか、今の時代に合わない行動には、呆れ果てて、ほっとけ、そのうちみんな潰れるから、せせら笑ってやれ、という感じです。
僕は幸い音楽を作るツールを持っているので、自分でコンテンツを作って配信していきます。
投稿情報: おぐらじお | 2004年10 月21日 (木曜日) 00:45