IBMがPC部門を中国に売却する。売却後もブランドを維持し、メンテナンスも続けるそうだが、IBMのPCがWINDOWSマシンとして今まで通りの品質が維持できるかどうか、は分からない。PCはだれでもどこでも製造できる時代だから、IBMがPC事業を手放したとしても別に驚きはないが、この売却の意味は、PC業界の勢力地図の塗り替えなどという問題にとどまらない。
いま中国は国をあげてオープン・ソースのリナックスをPCに搭載しようとしている。リナックスを載せた紅旗(redflag)というマシンがすでにあるが、WINDOWSの代わりにリナックスを載せればPCの価格は劇的に安くなる。中国には、WINDOWS支配からの脱却、ナショナルセキュリティーの確保などの理由もあるが、PCを安く供給することがいまの中国には至上命題になっている。これにIBMの技術とメンテナンスが上乗せされたら、どういうことになるのだろうか。
オープン・ソースにはまだWINDOWS機とのデータ互換性に問題は残っているが、これも近いうちに解決できるだろう。となると購買力が低いアジアに低価格オープン・ソースの中国製PCがどっと普及し、オープン・ソースの巨大市場が形成される。
中国に世界第三位のPCメーカーが登場したというだけでは、この売却事件の解説としては不十分だ。リナックスPCがアジアで巨大な市場に成長したら、WINDOWSのくびきから離れられるから、ソリューション事業やサービス事業で成長を目指すIBMにとってまたとないチャンスになる。IBMはそこまで読んで手放したのかもしれない。こんな私の予測は的外れだろうか。
はじめまして 唐突なTBお許しください
中国企業への売却で安全保障上で危惧と抱いていますが、共産国への戦略物資の輸出規制は解除されたのでしょうか。それとも、金のためには何でもありでしょうか。今回の件は非常に疑問を抱いております。
投稿情報: バック | 2004年12 月15日 (水曜日) 12:43
レジェンドのIBM買収に関し、僕も原さん同様、
中国政府の意図を感じます。650億円の現金と、
600億円相当の株式(同社の発行済み株式の18.9%
に相当)を渡し、CEOもIBMから、本社は北京から
NYに、おまけに負債の500億円も引き取る。これでは、
IBMに至れり尽くせりですよね。勿論、売上高3000
億円程度のレジェンドに買収資金の650億円なんて
調達できるはずがありません。
そうです。これはレジェンドのディールではなく、
中国政府とIBMのディールでしょう。
そうなれば、IBMとしてブランディングが傷つくという
リスクを負うわけですから、最大の保障を要求する
でしょうね。例えば政府が調達するサーバーに関し、
IBMを優先して調達するなんて密約ですかね???
投稿情報: 伴大作 | 2004年12 月11日 (土曜日) 11:24