キャッシュカードを偽造され、多大な被害をこうむった人たちが、銀行相手に集団訴訟を起こそうとしている。被害者には過失がないのに対して、金融機関には偽造防止を怠ってきた重大な責任があるのだから当然である。
キャッシュカードが偽造されやすいことは20年以上前から分かっていた。北海道で電電公社職員がオンライン上を流れるデータを盗聴、偽造カードを作って預金を引き出していた事件があった。1982年2月のことだ。北海道まで出張して、いかにカード偽造が簡単かという特集記事を書いた記憶がある。この事件はコンピューターのプロによる犯罪として注目されたが、最近のカード偽造は、ATMの横で暗礁番号を覗き見したり、ゴルフ場のセーフティーボックスからカードを一時盗み出して偽造したりする犯罪で、技術的にはプリミティブなものだ。
磁気テープ式カードには、こういう危険性があることはだれもが知っていた。金融機関の経営者が偽造防止対策を怠ってきたのは明らかである。ICカード化すれば、その危険性はゼロではないにしても、かなり低くすることはできる。そのことも20年以上前から分かっていた。それは1月20日の当blog「テレホンカード復活?」で書いた。経営者として当然の義務を果たさなかったものは、犯罪者の協力者であるとまで指摘した。
最近、ICカード導入を表明する銀行が相次いでいる。約款に銀行の過失が証明されなければ、損害賠償しなくてすむ項目が入っているが、それだけでは銀行の責任は免れないと覚悟したからに他ならない。
それにしても銀行の経営者は長い年月事態を放置してきたものだ。過去20年間、業界内部でもICカード化する動きは何度となくあった。技術が分からないからといって放置してきたのなら、そういう経営者は犯罪的である。顧客や消費者の安全を守れない技術音痴の経営者を罰する法律はできないものか。現在の技術水準で最適な安全策を採用しない経営者は、そう懲役10年とか。
そんなこと到底無理だと思われるかもしれないが、通信の世界にはそうしたルールがすでに存在している。長くなるのでこの項つづく。
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