ある大手通信関連企業の広報担当者とお茶を飲んでいる時にいわれた。「田舎の電話は基本料が安いンですね」
「通信機器メーカーの人なのにそんなこと知らなかったの」と私。
「部内の人に聞いたけど、みな知らなかったんですよ。知ってました?」
「昔から何度も記事にしてきたじゃない。読まなかった?」と私。一般の人が知らないのは分かるが、通信関連企業に勤めている人が知らなかったことに実は驚いた。
この春、電話の基本料が値下げになった。わが家でも基本料は1750円から1700円になった。でもへき地や離島の基本料は700円である。まだ1000円の格差がある。デジタルデバイドではない、逆デバイドである。
電話を引くコストは都会の方が田舎よりは安い。しかし現実の基本料は田舎の方が安い。
かつて電話料金は原価主義で決まっていた。コストに見合う料金になっていたはずである。しかし、基本料だけは例外的にコストに見合わない料金となっていた。
原価主義に反しているではないか、と当時、電電公社に詰め寄ったことがある。「そうなんです。あれは効能料金なんです」という答えだった。田舎の電話は単位料金つまり10円でかけられる通話相手の加入数が少ない。都会は加入者が多いからそれだけ電話の効能が高い。だから基本料は高くていいのだ、という論理だった。基本料には競争がないから、通信自由化後もコストに近づける市場の力は働かなかった。当時の残渣がそのまま残っているのが現在の基本料だ。
基本料と通話料金で決定原則が異なるのは矛盾そのものだが、田舎の基本料を原価に則して値上げせよ、とは弱い者いじめのようで書けない。大きな記事にもなりにくい。だから知らない人が多いのだと思う。
この矛盾は是正されるのかどうか。基本料で競争が始まったが、都会の基本料がちょっと下がっただけ。田舎の人はもともと基本料が競争価格より安いから恩恵はない。日本テレコムもKDDIもおとくラインやメタルプラスで田舎には参入できない構図になっている。
光ファイバーの料金には電話のような地域格差はないから、敷設コストの高い地方にはなかなか普及しない。そういう結果になることは目に見えている。
初めまして。電話加入権集団訴訟の代理人をしている弁護士の野村と申します。大変勝手ながら、訴状に原様の電話基本料に関する記事を引用させていただきました。訴状の内容は上記URLで公開しております。ご意見、ご感想をいただければ幸いです。
また、ICPFセミナーでもこの問題を取り上げていただければ幸いです。
投稿情報: 野村 | 2006年6 月 3日 (土曜日) 16:09
電話のことがサッパリわかりません。
毎日色んな会社から「電話料金がお安くなりますので、お伺いに参ります…」という営業の電話がかかってきますが、何のことだかサッパリです。
だから、勿論NTTの内部でも格差があるの知りませんでした。
マイラインは本当にお得なのかもわかりませんし、どこの会社が一番お安いのかも…?
投稿情報: すみれ | 2005年3 月23日 (水曜日) 20:19