3回目の講義。こちらはだいぶ慣れては来たが、学生はまだ慣れていないようだ。5人組を作って登録する締め切りは27日だったが、まだ5割ちょっとしか登録していない。しかたなく締め切りを1週間延ばした。
しかし、気の早い学生はもう原稿を書いて来た。新聞社の現場だったら、ゴミ箱直行確実の原稿のできだったが、一番乗りという理由だけで合格点をつけてあげた。
講評を書いてすぐ学内の専用ホームページに掲載した。ついでに何がよい原稿か、の判断基準を掲載した。何を伝えたいのかすぐ分かる原稿を最も高く評価するのが私の方針。誤字脱字などPCでも判断できる時代だから、そういう判断基準は低い方に位置づけている。
講義の後半で、学生たちはどれくらい文字を言葉で説明できるか、試してみた。
あいうえおを一文字ずつ説明せよ。胡金涛の漢字を説明せよ。
前列の学生にいわせてみた。「あは、あいうえおの、あ」という返事だった。「では、いは、あいうえおの、いか?」と私。あは朝日のあ、いはイロハのい、うは上野のう、えは鉛筆のえ、おはお尻のおだったかな、尾張名古屋のおだったかな。これは固有名詞を電話で相手に確実に伝えるためのノウハウである。
別の学生に胡金涛について聞いた。「胡は湖のサンズイのないもの。金はキンの金。涛はサンズイにことぶき」。「まずまずだが、金はおカネの金というか、ゴールドの金と説明しないと分からないよ」と私。
これでは盧武鉉なんてだれも説明できないだろうなと思い、尋ねるのをやめた。
関西に行くと東京人には読めない地名がたくさんある。放出(はなてん)なんて私も読めなかった。漢字は簡単だが、読みは一音ずつ説明しないと東京人には分からない。PCで何でも変換できる時代だから、こんな訓練は必要ないかもしれない。しかし、PCやファクスがその場になかったら、ビジネスでも困る場合が出てくるぞ、と脅しておいた。
恐縮ですが、質問自体が適切でないと思います。
「あいうえお」を一文字ずつ説明せよ、と言われても、
その質問の目的が明確でないからです。
これらの文字を定義するのが目的なのか、
電話などで、これらの文字を誤解のないように伝えるのが目的なのか、
目的によって当然答えは違ってきます。
だから、「あいうえお」の例での学生の答えも、間違っているとは言い切れません。
(少なくとも、この文章における文脈から判断する限りでは)
質問のしかた(あるいは文脈)を考えることはとても重要です。
例えば、小学生に対して、
「ここに、3つの林檎と5この蜜柑があります。全部でいくつですか?」
という質問をして、「8個」と答えられずにまごまごしている児童を見て
この児童は頭が悪い、と言い切れますか?
この場合は全く違う物体を足そうとしているため、答えが出ないことが当然であり、
もしも「8個」と答えさせたければ、
正しくは「『果物は』全部でいくつですか?」と質問すべきなのです。
投稿情報: | 2005年4 月28日 (木曜日) 21:30