5月20日に紹介した録画ネットの異議申し立てが1日東京地裁で却下されました。決定の全文はICPFのホームページに掲載されています。このサービスは海外在住の人が録画ネットに預けた自分のPCで予約録画し、海外からアクセスして転送することは、私的利用の範囲を逸脱するというものだと思われます。カラオケボックスと同じような録画代行サービスだから、著作権法違反だという放送局側の論理を認めたかたちで、録画ネットは高裁に抗告するものと思われます。
サービスを受けられなくなった利用者の多くは、法廷で争うことを望んでいますが、小さなベンチャー企業ですから、法廷維持費用がまかなえるかどうか心配です。カネの切れ目が縁の切れ目ではないですが、資金力のないベンチャーをこういうかたちで敗訴に追い込むやり方はフェアではない気がします。
先週の朝日新聞によると、デジタル音楽プレーヤーにも私的録音録画補償金を求める動きが著作権団体にあるそうです。i-PODなどの端末に500円くらいの補償金が上乗せされる可能性があります。
権利者側、放送局は今後ますます、著作権法の厳格な適用を求めてくると考えられます。その一方、消費者側、ベンチャー側は戦う術がほとんどないのが実情です。マスメディアはどこも権利者側ですから、あてにはできません。
私的コピーを厳しく制限すると文化創造の芽を摘むことになりかねません。どのような芸術でも先人の遺産の上に成り立っており、まったく独立に創造できるものではない、といわれます。違法コピーは文化創造の意欲をそぐと権利者団体はいいますが、私的コピーは著作権法でも認められたれっきとした国民、消費者の権利なのです。国民の権利を狭める動きには賛成できません。
弁護士の小倉秀夫さんは、BLOGで著作権法改正案を募集しています。私的複製権は基本的人権として改正著作権法に盛り込むことはできないでしょうか。
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