PHS電話のWILLCOMがPHSの無線部分だけを切り離し、チップで販売する方針を7日表明した。端末メーカーは無線部分を気にすることなく自由に端末の設計ができるので、今後豊富な機能を備えたPHSが出てくるかもしれない。
このチップを利用することを表明したメーカーはアップルを含め46社。チップを組み込むことで、留守中ペットに餌をやるロボットや医療用データを自動的に送る携帯用健康器具などさまざまな応用が考えられる。通信速度は128キロだが、今後増速することは可能で、無線LAN機能を組み込むことも考えられる、という。
無線部分と応用部分を切り離しはどういう意味を持つのだろうか。携帯電話も端末まで通信事業者が一通で提供していた時代にくらべ、端末開放以後、機種は豊富になり、価格も下がった。今回は端末の無線部分と応用部分を切り離し応用部分を開放したことになる。通信事業者が考えも及ばない応用が出てくる可能性がある。その時PHSは電話でもなくメール送受信機でもなく、形さえ見えない存在になっているかもしれない。
携帯もPHSもIP電話化されれば、いずれは通話料収入に依存できなくなる。応用部分を開放し、全体の通信のボリュームを大きくすることでインフラの収益を確保する。その道以外IP電話に対抗する術はないような気がする。
既存の通信インフラを利用して新しいビジネスを企画しても、端末の通信処理部分をゼロから作るとコスト・設備・人材が必要になります。そこでこの通信処理部分のみをモジュール化して(あたかもOSやMPUのように)支援しようとするビジネスが目的です。具体的には処理モジュール(CHIPと支援ソフト)と通信サーバーですね。たとえばPHS網を利用して自動給餌器サービスを行おうとする企業に、CHIPを販売して給餌器内に組み込ませ、通信サーバーを介してPHS網に接続するサービスを提供しCHIP代金とサーバー利用料金を徴収するわけです。自動給餌器を設計する側としては難しい通信処理のことは技術的にシロウトでも十分対応できるくらいにこのモジュールは良く出来ています。ADSLに見られるように折角投資して生きているのだからPHS網も使わない手はないですね。3Gケータイに比べれば低速でも、PHS網にはこのような機器の情報通信には十分な速度と信頼性と低コスト性があります。何も機能としてハイレベルな製品ばかりがよいわけではなく、適材適所の仕組みとして「渋い」あるいは「シブトい」ものです。これからのスローライフ社会にとっては、過去の投資をなるべく無駄にしないビジネスとして住宅のリフォームみたいなものと思っています。
投稿情報: ヒゲオヤジ | 2005年8 月27日 (土曜日) 15:04