日本テレコムフォーラム2006に参加した。オラクル、マイクロソフトを協力して、企業向けITプラットフォーム、ULTINAを提案するイベントだった。ULTINAとはultimate network architecture の略だが、これだけでは何のことか分からない。よく聞いてみると、企業が情報システムを構築する上で、企業本来の仕事ではないシステムの保守運用、安全性の監視、能力増強などはいっさいULTINAに任せ、企業は本来業務のソフト開発とITを利用した経営革新に専念できるように分業体制をとろうという提案だ。
分業で大きな比重を占める従来システムの保守運用コストなどを大幅に削減できるというのだ。餅は餅屋に、はやりの言葉でいうと、アウトソーシングの進化した形だ。
IP時代を迎え、電話会社はどこもソリューションビジネスに力を入れているが、日本テレコムの提案は、もはや同社が通信サービスを提供する企業ではないことを宣言したのと同じである。
社長に元IBMの倉重氏が就任した時から予想されたこととはいえ、通信分野でNTTとまともに渡り合うことはあきらめたというしかない。
ユーザー企業はアプリにだけ専念すればいいとなると、当然システム全体を見渡せる能力がおろそかになる。ましてユーザー企業と一緒に開発してきた日本のシステムインテグレーターはますます不要になる。
外資と組んだプラットフォームビジネスが成功するとしたら、システムを自ら構築できる能力を備えたソフト技術者が日本では育たないし、日本の情報サービス産業は壊滅するおそれもある。もちろんIBMも同じような戦略を立てている。
フォーラムに参加してこんなことを考えた。これが杞憂に終わることを期待するばかりである。
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