日経がデジタル編集部を新設したそうだ。紙とはいっさい縁を切り、取材から編集、販売まですべてデジタルで通すのだそうだ。日経社内から聞いたのだから間違いないだろう。
2000年ごろ朝日をはじめ、新聞各紙はデジタル編集部を相次いでつくったが、その目的はデジタル関連の記事を集め紙面化することだった。ITバブルがはじけると、各社とも相次いで廃部したいきさつがある。今回はそれとは違って、デジタル関連に限らずあらゆるニュースをデジタルで一貫して扱うそうだ。デジタル新聞の始まりである。
サンケイが新聞紙面を画像化してネットで配信する電子新聞を始めているが、成功しているという話は聞かない。どこの社も紙の新聞販売システムを根幹から揺るがす電子新聞には二の足を踏んでいる。にもかかわらず、日経はオールデジタル新聞に踏み切るらしい。その準備のためのデジタル編集部だ。
オールデジタル新聞が紙メディアに取って代わるのは10年後か20年後かは分からない。その時になってからでは遅い、ということだろう。どういうビジネスモデルにするのか、詳しいことは分からないが、近日中に発表されるらしい。
そこで日経新聞広報室に電話してみた。「そういう話には答えられない。公表できるときに公表する。また、blogの取材はお受けできない」という返事だった。「blogの取材を断る理由は何か」と聞くと「社の方針だ」という。ホワイトハウスにもblogジャーナリストが取材に入る時代だというのに、何をいっているのか、と頭にきたが、けんかしても始まらないのでやめた。既存メディア対ネットメディアの問題は別途書くつもりである。
いずれにせよ、紙の新聞の命運は見えてきた。新聞がネットに代替されるのは専門紙である日経がもっとも早いと予想される。朝日もデジタルビジネスを立ち上げる準備をしているようだが、詳細は分からない。ライブドア対フジテレビなどネットビジネスが既存メディアを飲み込む時代になって、既存メディア側にようやく危機感が出てきたのかもしれない
ABCによって支えられている部数の信頼性はどうやって担保するのだろうか。それとも、そんなものはもう要らなくてクリック数やビュー数が広告の有効性を支える基盤になるのだろうか。印刷所に勤めている人々の再就職先はあるのだろうか。販売店とその従業員たち、拡張軍団の人々は農林業などに変わりうるのだろうか。それともチラシ業として生き続けるのだろうか。新聞社自身は雇用の問題が引き起こす社内の争議をどうやって克服するのだろうか......。
投稿情報: ギモン | 2006年4 月10日 (月曜日) 10:43
そんな小手先のことよりも、ジャーナリズムの根幹を揺るがす捏造問題でも辞任もせず、息子が麻薬所持で逮捕されると言う公私にわたり不手際を行う人物が代表をしている社の姿勢のほうが問題だ。
投稿情報: それでも記者 | 2006年3 月28日 (火曜日) 14:02
先輩も気になっていましたか(とは言っても、後輩が誰かはまだ特定されていないでしょうが)。
読者にとっては、デジタル化されて紙面サイズの制約がなくなれば、編集長、整理部、広告局の意向に関わらず、すべての取材記事が読めるようになって、劇場型のマスコミが少しはジャーナリズム精神を取り戻すのではないかと期待する。でも、販売店から見放されて、経営が苦しくなると、バラエティ番組新聞になって行く気もする。情報収集は只ではできない。只の情報は、価値のない噂話。しかし、社会は情報を只だと思っている。デジタル新聞が、読者の購読収入のみで成立するような社会になることを望む。それには、新聞に対価に見合う価値が必要だ。スポーツ新聞は成功した。一般紙も同じように購読者へ迎合しようとしたのではないか。硬派たれとは望まぬ。せめて、バランス感覚のある新聞が生まれて欲しい。先輩も、そんな新聞を求めてマスコミの世界に入られたのではないか。海外で読む日本の新聞ほど、なさけないものはない。外国語に翻訳されていないから、恥ずかしくなく人前で読んでいられる。別に外国紙が良いとは言わない。ジャーナリズムは、そんな矮小なものだったのか。
歳をとると、ボヤキが多くなるものです。
投稿情報: ojisan | 2006年3 月26日 (日曜日) 07:14