ICPFのシンポ「新聞の特殊指定を考える」が25日開かれ、本音での激論がかわされました。ICPFのテーマとしては異質だったせいか、来場者は15人程度で少なかったのですが、人数が少なかった分、参加者とのトークは熱を帯びたものでした。
講演者から新聞協会の公式見解以上の話は、オフレコにしてほしい、との要請があり、会場からの意見を中心に報告します。
多かった指摘は、新聞には再販が認められているのに、なぜ特殊指定という二重の保護が必要なんだ、という点でした。さらに新聞販売の実態は、様々な割引、値引きが起きているのに、あえて特殊指定で値引き、割引を禁止する必要があるのか、という質問も出ました。
多くの時間が割かれたのは、特殊指定がなくなると、戸別配達制度が崩壊すると新聞業界は主張するが、なぜ崩壊するのか、過去にそのような実例があるのか、崩壊するというなら、それを証明する必要があるのではないか、という問題でした。
特殊指定が撤廃されると、販売競争が激化し新聞販売店の経営が苦しくなるというのはある程度分かるが、それは新聞流通の問題であり、活字文化を守れ、などという主張になぜつながるのか、理解できないという指摘もありました。
新聞の戸別配達制度は日本特有の制度で、9割以上の読者が支持しているそうですが、もしそうなら戸別配達制度を守るためにはどうすべきか、正直に訴えるべきではないか。販売店が倒産したら宅配便で配達したらいいじゃないか、という意見も出ました。
マーケティングの専門家から、新聞販売店のネットワークは、新聞以外の商品も配達できるし、戸別の消費者情報も持っているのだから、流通面でとても有利な立場にいるのに、それをうまく利用していないのではないか、という指摘もありました。
全国どこでも同一サービス、同一価格の新聞を提供するという概念は通信業界のユニバーサルサービスとよく似ています。新聞の特殊指定は新聞のラストマイルをどう守るか、という問題なのだ、と理解しました。
それにしても新聞業界は読者の理解を得る努力がちょっと足りないのではありませんか。
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