MVNOの日本通信が31日、カードをPCに差し込むだけで、3Gの高速データ通信が、感度が悪い地域ではPHSによる接続が利用できるサービス、ドッチーカを発売すると発表した。発売時期は、3Gキャリアとの接続完了から1カ月以内としている。サービス開始時期が決まらないまま新サービスを発表するのは異例だ。3Gキャリアとの接続協議が進展しなければ、電気通信事業に関する紛争処理委員会に提訴する覚悟だという。
MVNOというのは、電波の割り当てを受けていないのに、携帯キャリアから無線部分など通信設備を借りて、独自のモバイルサービスを提供する事業者。これまで日本通信は、ホテルやレストランなどWIFI(無線LAN)環境ではWIFIを、それ以外の屋外ではPHSで接続できるデータ通信サービスを提供。外回りの多いビジネスマンなどから歓迎されていた。
MVNOは電波の有効利用、携帯事業の競争促進になるなどの理由から、政府もMVNOのガイドラインを作成するなど、後押しする姿勢を見せている。
しかし、高速データ通信が可能な3GではまだMVNOが事業化されていない。ドコモ、AU、ソフトバンクモバイル3社から、無線部分を借りる交渉、いわゆる接続交渉がまとまらないからだ。 周波数が足りないというのが表向きの理由だが、MVNO側は3Gのデータ通信のコストが明らかになるからではないか、と勘ぐっている。
番号ポータビリティーをきっかけに携帯の通話料金の高さに世間の関心が集まってきたが、データ通信のパケット料金の高さにはそれほど関心がない。MVNOの参入で3Gのデータ通信料金が安くならないと、実はユビキタス社会など絵に描いた餅になる。
ADSLが急速に普及したのは、NTTが加入者回線を開放したからである。携帯各社が無線部分を含む通信設備を公正なコストで開放するのは当然である。周波数はもともと国民の資源であり、携帯会社のものではないのだから。
交渉が決裂し、紛争処理委員会に提訴したら、この小さな先駆者、MVNO事業者を応援しなければなるまい。
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