ICPFのセミナー「進化続けるP2P」が28日開かれた。winny作者として著作権法違反の容疑で逮捕され(現在公判中)有名になった金子勇さんが講演した。P2Pの歴史について語った後、彼がドリームボートと開発中の第3世代P2Pについて解説した。(講演資料はICPFのホームページに掲載されています。報告が遅くなってすみません)。
おもしろかったのは講演後の質疑応答。P2Pでネットワークの安くて効率的利用が可能になると、映像配信が増え、ますますネットワークを流れるデータ量は膨大になり、ネットワークの破綻をもたらす恐れがあるのではないか、という質問に、金子さんはこう答えた。「P2Pは定額制のもとで成り立つので、ネットワークのリソースが足りなくなり、従量料金が導入されたらP2Pは殺される」。プロバイダーがトラフィックの急増に耐えられず、従量料金を採用せざるを得なくなったり、ネットをたくさん使う人、少ししか使わない人の不公平が問題になったりすると、P2Pは存続できなくなるというのだ。
P2Pはネットワークの中で余っている資源を有効に活用するから、効率的にかつ安く映像配信などを提供できる。winnyに警察権力が介入しても一向に利用が減らないのは、それだけ便利で安い効率的情報配信システムだったからだ。しかし、さらにP2Pが普及しネットワーク資源に余裕がなくなれば、存在できなくなるかもしれない。無料IP電話のスカイプも、トラフィックが増えボランティアとしての中継ノードに余力がなくなれば、どうなるか分からない、と金子さんはいう。
P2Pの将来は、巨大化した恐竜が自重にたえられなくなり、滅亡するのとどこか似ている。
みんなで使えば安くなるインターネット本来のよさがかえって将来の発展の足かせになる恐れがある。そうならないための知恵、インターネットの新たなビジネスモデル、つまりだれがいくら負担するのが公平なのか、みんなが納得できるモデルがいま求められている。
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