ICPF11月セミナーが30日開かれ、経産省商務情報政策局情報政策課の久米孝総括補佐が情報大航海プロジェクトについて講演した。巷間、日本版グーグル開発プロジェクトといわれる国家プロジェクトだが、久米さんは「従来の国家プロジェクト、第五世代コンピューター開発やシグマ計画とは違い、最終的にはユーザーに利用してもらわなければ意味がない」と語り、あくまで利用シーンを念頭に置いたビジネスモデルに仕上げることを目標にしていることを強調した。
しかし、会場の参加者からは「過去の国家プロジェクトのどこを反省したのか」「ユーザー志向といっても参加している企業は経団連企業ばかりではないか」といった批判的意見が続出。いずれにも久米さんは丁寧に答えてくれたが、「これから多くの人の意見を参考にしながら計画を具体化する」と述べた。
同プロジェクトは、次のような構想だ。インターネット上にあふれる情報をうまく整理解析することで、さまざまな新たらしい価値、ビジネスやサービスが生まれることが期待できるが、それを可能にする解析技術を3年間で150億円をかけて開発するというものだ。
これがグーグル対抗の日の丸エンジン開発プロジェクトと報道される理由だが、久米さんは「検索技術を開発目標にしているわけではない。情報の上手な使い方を国が支援するものであり、ばらばらだと技術革新が期待できない分野をサポートすることだ」と語った。
開発分野で想定されているのは、医療、情報家電、リアルタイム情報処理などで、プロジェクトの参加企業、団体は56。
海外に追いつき追い越せの技術開発はもう国の役割ではない。メーカーに国際競争力をつけさせるために予算をつぎ込む時代でもない。経産省はこういう。彼らがIT時代の国の産業政策のあり方を模索しているのは分かる。かといって、情報大航海プロジェクトが一部の企業のためのプロジェクトであって、国民のためのプロジェクトであると感じられないのは私だけではなかったようだ。
セミナーおつかれさまでした。
お名刺を頂戴していたにも関わらず、ブログにアクセスするのが遅れまして失礼申し上げました。
原さんは、ジャーナリスト出身で、情報社会学の講義を持っていらっしゃるとのこと。
私は今、歌川令三さんと研究をしているのですが、いまの情報関連の学者、ジャーナリストのほとんどが、エバンジェリックな言説に偏向していることを憂慮しています。
昨日も、そのような意図からエントリーをあげております。
http://plaza.rakuten.co.jp/sponta/diary/200612040000/
ぜひともご覧いただいて、ご批判など頂戴できましたら、幸いです。
投稿情報: スポンタ | 2006年12 月 5日 (火曜日) 10:59