昨年から相次いで明らかになった損保、生保の巨額の保険金不払い問題。支払い請求がなかったから払わなかったケースがほとんどだそうだ。おカネの忘れ物をどこにも届け出ずに猫ばばしたのと同じだと言われても仕方ない。
経営トップの辞任を含め各社は対策に懸命だが、なぜ支払い請求がちゃんと出ないのか、その原因を探る動きがあるようには見えない。
私も最近自動車保険を更改した。特約を増やしたから保険料が高くなった。今年は約款をちゃんと読もうと思っていた。しかし50ページ以上にわたり細々と書かれた約款を読む気になれなかった。保険契約に基づき、こういう場合には保険金がいくら支払われ、支払えない場合はこうです、という分かりやすい説明もない。これでは、ほんとに事故を起こした時、ちゃんと請求できるかどうか不安である。
まして本人が死んだり入院したりした場合、遺族や家族はどうするだろうか。私よりさらに情報が少ないのだから請求できるか不安になる。
生命保険の場合、保険をかける人と受取人は違う。多くの場合、受取人は家族であり、遺族である。契約時は何度も生保レディーとやりとりはあったが、生保と次に関係を持つとしたら、自分の死後である。請求漏れがないように、遺言でも残しておきたいところだが、本人がよく分かっていないのだから、遺言の書きようもない。
保険各社は契約の洗い出しに社員の多くを動員するそうだが、それは猫ばば分を洗い出すだけの仕事である。今のままの契約のあり方、説明の仕方では、あと数年したら同じことが起きる可能性が高い。
受取人に分かりやすい契約、保険サービスの説明書を早急に準備する必要がある。つまり保険料を払う本人より、受取人を対象にした保険サービスの契約説明書、情報提供が必要である。
監督する金融庁は各社を処分するだけが能ではあるまい。保険は社会の相互扶助機能である。保険会社はそれを補助するのが基本である。ただの金貸し業ではないはずである。
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