消費者問題を担当する国務大臣と消費者庁的専門機関の設置が検討されている。国民、消費者の立場、目線に立った行政を進めるのだそうだ。
また役人が増えるのかと思うとぞっとする。どうせ官庁を増やすなら、近い未来に国民、消費者にとって迷惑になりそうな問題を予想し、事前の対策を考える未来問題予想庁を設置したらどうか。未来に関しては天気予報だけが政府の役割ではあるまい。
いま問題になっている産科医の不足、緊急医療体制の不備、少子高齢化、財政破綻、原油値上げなどなど。どれも以前から知る人ぞ知る問題だった。つまり予想可能な問題だった。
地域医療の崩壊、産科医不足の対策で医学部の定員が増えるそうだが、今年入学した若者が戦力として役に立つのは10年後である。問題が起きてから対症療法的な政策を進めても遅いのである。
消費者問題の専門機関設置に反対しているわけではない。緊急医療と予防医療のように両方必要なのだ。予防に力を入れればより安上がりに危機を回避できる。
役人は危機を予測して仕事をしている、というかもしれない。しかし、その対策に予算をつけるには、政治家や財務省を説得しなければならない。その連中が必要だと納得してからでは遅いのである。また、危機を予想し対策を考えたとしても、公表したらパニックになるというかもしれない。目前の危機ならパニックになるかもしれないが、遠い未来問題ならその危険はない。すぐそこにある新型インフルエンザ問題でも国民は平静を保っているではないか。
世間に警鐘を鳴らすのはジャーナリズムの重要な仕事だが、ジャーナリズムもみなが危ういと感じるまで実は役に立たない。危機の芽が小さいうちはベタ記事くらいにしかならないからだ。
的確に未来問題を予想し、未然に問題を解決できた役人には自由に天下りを許す。そういう人材こそだれもが求めているのだから。
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