偽装再生紙の問題は製紙業界全体に広がった。表示より上質の製品を納めていたのに、うそつき業界といわれても仕方ない。しかし、もっとうなずけないのは、再生紙を購入する立場の事務機器メーカーや文具メーカー、販売業者が偽装再生紙の販売を中止したことだ。ニセモノは売れないということだろうが、自粛商品の代替品はより上質の紙類になるはずだ。それで環境に配慮したことになるのだろうか。メディアが批判しているから自粛したのだとすれば、見識のない会社である。
どういう根拠で偽装再生紙販売を自粛したのか、ニュースを見ている限りでは分からない。何が社会、環境のためになるのか、自主的に判断しているのだろうか。
メディアはようやく古紙の供給不足を解説し始めた。古紙混入率を高くすると逆に温暖化ガスの排出が増えるという説もある。食品偽装ほど簡単な問題ではない。
販売自粛した企業は、偽装した取引先を懲らしめたいのだろうか。たとえ違法だとしてもだれが迷惑を受けたのか。世間体を重視して自粛したのか。温暖化ガスの排出低減を重視したのか。それとも自らのコスト負担を重視したのか。ひょっとすると再生紙の供給不足を理由に紙製品の値上げを狙っているのではないか。そんな勘ぐりもしたくなるくらい不可解な対応である。
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