中国産冷凍ギョーザ事件で第2の農薬が混入していることが分かった。マスコミは原因究明に熱心だが、原因は何であれ、最初の事故報告があってから3ヶ月も公表されず有効な対策がとられなかったことに目を向けるべきではないか。
原因が日本国内であろうと外国だろうと、最初の報告が生かされていたら、被害は最小限にとどめられたはずである。
最初の情報は去年10月。臭いがする、アブラのようなものが付着しているという店員の情報だったらしい。検査したが、原因を特定できないまま根本対策はとらず、放置していた。
食品偽装問題でも同じことがいえる。最初の告発、それが社内だろうが、社外だろうが、生かされていれば大きな問題にならずにすんだ。営業再開した赤福には大勢の客が並んだそうだが、品質偽装の再発防止策で最も大事なことは、おかしなことが起きているという第一報をいかに把握するか、その情報をいかに経営に生かすか、だったはずである。内箱にも製造年月日を印刷することで偽装を防ぐのもいいが、こんな対策で信頼を回復してしまう消費者も甘いといえば甘い。
最初の危険情報はだいたいあやふやであったり、不確かだったりする。だから軽視される。小さな事故情報の裏には大きな事故が隠されている。小さな事故の初期段階できちんと対策をしていれば、原因究明ももっと簡単だったはずだ。
日本人は情報の扱い方がへただというのが私の日本人観である。このブログでも何回か書いた。どうすればいいのか。繰り返し書くしかない。
ギョーザ事件でもっとも笑ったのは、地方の保健所が検査結果を県庁経由でしか他県の保健所や厚生労働省と連絡できないシステムになっていることだ。国民に危険が迫っているのに、行政組織が壁となって情報の迅速な交換ができない。
消費者行政を強化するのはけっこうだが、少なくともこうした馬鹿な情報の取り扱いは見直さなければならない。日本人の情報への鈍感さを鍛え直すには時間がかかる。だが、組織を飛び越えて国民の安全に関わる情報を交換できるようにする。これならすぐできるはずである。
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