ICPFの第1回セミナーでは、アナログテレビ跡地は、主に4つの用途に割り当てられることが報告されました。それらは(1)デジタルラジオなど移動体向けマルチメディア放送(2)警察、消防、自治体向けの自営通信(3)自動車安全運行用のITS通信(4)増大する携帯電話向けの4つの用途です。
セミナーを聞いて私なりの疑問が湧きました。デジタルラジオ、ITSへの割り当てはそれなりに納得できるのですが、問題は自営通信と携帯電話への割り当てです。警察や消防、自治体にとって無線は不可欠な通信手段ですが、なぜ特別な周波数を割り当てねばならないのかという疑問です。携帯が普及した現代、あえて割り当てる必要性はあるのでしょうか。警備に当たる警察官がいまだに重くて大きな無線機を手に連絡を取り合っている光景を目にしますが、携帯なら楽なのにと、気の毒で仕方ありません。
警察の秘密の通信だから民間の通信会社は利用できないそうですが、盗聴されて困るのは一般利用者とて同じですから、携帯会社は警察向けに盗聴されない方式を採用できるはずです。いざという時、混雑して使えなくなると困るという理由もありますが、従来電話には優先電話という特別の回線があり、政府機関のほか放送や新聞が優先電話の利用枠をもらっています。警察や消防にもこの優先携帯電話の枠を常時割り当てれば、自営通信システムを持たなくても済むのではないでしょうか。
自治体の地域防災システムも自営通信のひとつですが、いざという時それが機能せず、大きな被害を出した例が何度となくあります。これも民間の通信を利用すれば、安上がりで安定した防災システムができるのではないでしょうか。
山間僻地は民間がサービスしていないから自営無線が必要だというかもしれません。山間僻地に無線のネットワークを張り巡らせるのはコスト高になるから民間はサービスしていないのですが、自営無線だったら安上がりに建設できるのでしょうか。携帯会社にユニバーサルサービスを義務づければ民間でできないはずはありません。警察が必要とする山間僻地で携帯が使えれば一般利用者にも便利になるはずです。
携帯はもう1億台普及しています。これ以上増えるのでしょうか。犬や猫にも携帯を持たせるのでしょうか。機械同士の通信に必要だという人もいますが、機械同士なら有線で十分なはずです。機械は動かないのだから。
電波の有効利用といいながら、もっとおもしろい利用方法はないのか、民間からの知恵はないのか、セミナーを聞いて考えさせられました。次回セミナーはこの自営通信がテーマです。
以下はICPFからのお知らせです。
平成20年度第2回セミナー
「ユビキタス時代の電波政策:自営無線通信の過去、現在、未来」を開催
「いつでも、どこでも、誰でも」を標榜するユビキタス時代の実現には、電波の利用が不可欠です。総務省は2003年に電波政策ビジョンを発表し、それ以来、施策の舵を切ってきました。2011年にはアナログテレビの停波が予定され、VHF/UHF帯について新しい利用方法が検討されています。
ユビキタス時代を展望して電波をいっそう有効利用していくために、情報通信政策フォーラム(ICPF)では「ユビキタス時代の電波政策」と題して連続セミナーを開催することにしました。
第2回は総務省で情報通信政策局長を務められた後、財団法人移動無線センターに移られた竹田義行氏に「自営無線通信の過去、現在、未来」についてお話いただくことになりました。
<スピーカー>
竹田義行氏(移動無線センター会長)
<モデレーター>
山田肇(ICPF事務局長・東洋大学経済学部教授)
<日時>
5月27日(火)18:30~20:30
<場所>
東洋大学・白山校舎・6号館・6316教室
東京都文京区白山5-28-20
キャンパスマップ http://www.toyo.ac.jp/campus/hakusan.html
<資料代等>
2000円 ※ICPF会員は無料(会場で入会できます)
★申し込みは[email protected]まで、氏名・所属を明記してe-mailをお送り下さい。
【特定非営利活動法人情報通信政策フォーラム・ICPF事務局】
〒101-0047 東京都千代田区内神田2-14-3
phone 03-5209-6858
Fax 03-5209-5631
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