株価が一時7000円を割り込んだ。経済界も政界も大騒ぎだ。メディアは実態経済に悪影響が出てきたと報じている。
株のことわざに「まだはもうなり。もうはまだなり」というのがある。今回にあてはめると、「まだ下がるという時はもう下がらない。もう下がらないという時はまだ下がる」という意味である。
7000円割れした28日、まだ下がると思っていたら、後場になって逆に大幅高になった。ことわざ通りである。
それにしても現在の株価水準は26年前の水準だという。80年代の初めは、日米貿易摩擦が激しくなり始めたころだ。日本がため込んだ貿易黒字が過剰流動性となって80年代後半のバブル経済につながる。
株価がその国の経済実態を反映するとすれば、わが国の経済は80年代前半に戻ったことになる。経済が80年代前半に戻るだけならそれほど悲観することはない。当時の経済規模、生活水準でも餓死者や失業者が出ていたわけではない。
それよりほぼ10年前の石油ショックの時、アラブ諸国が原油価格を大幅に引き上げ、先進諸国から世界不況になると非難を浴びた。当時サウジアラビアの石油相だったヤマニはこう語った。「欧米がアラブの石油を買わなくなるだって?そうなったらわれわれは遊牧生活に戻ればいいだけだ」。この覚悟があればこそ、彼らの価格戦略は成功した。
80年代以降、日本では土地バブルやITバブルを経験し、その破裂も経験した。米国の不動産バブルに起因した今回の金融危機とそれに伴う経済の後退も、せいぜいブッシュ以前の米国に戻ることを覚悟すれば、それほど深刻に考える必要はない。バブルがはじけて、大損したのは欲の皮を突っ張らせてカネもうけに走った連中だ。彼らが反省してくれればこの世の中少しは住み良くなる。
カネも資産もない庶民、少なくとも私はそう考える。みなさん、われわれのレベルまで降りていらっしゃい、何も心配することはないから、とね。
緊急経済対策に、定額減税、株式配当優遇税制の延長、企業会計の時価会計基準の見直しなどが盛り込まれるそうだが、姑息な対策である。80年代に戻る覚悟を決めて金持ち連中に文句をいわさない。そんな政策でいいのではないか。あの当時は完全雇用だったし、国民総中流階層だったし、自民党も安泰な時代だった。
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