ガン手術から1年経過後の検診の結果が出た。再発、転移もなく経過は良好のようで、今後は3ヶ月ごとの検診でいいことに。とにかく1年は生存したわけだ。
先日NHKテレビを見ていたら、ガンになってから亡くなる直前まで自分のデータを細かくPCに打ち込み、自らの死を科学的に見ようとした物理学者がいた。自分も術前から細かい検査データを病院からもらっている。手術後も同様だが、「ハイどこも悪くありません」という医師のひとことで安心して、データの細かい説明を聞いたことはない。テレビを見ていたから、「腫瘍マーカーとは何ですか」と試しに聞いてみた。ガンの目印といったような説明が一言あっただけで、何が目印になっているのか、数値は高いのがいいのか、低いのがいいのかなど説明はなかった。根掘り葉掘り聞くこともできたが、診察室の外ではまだ大勢の患者が待っている。オレみたいにどこも悪くないヤツが医師の時間をとってはいけない、と思ってそのまま退出した。
あの物理学者は検査データの意味をどこまで理解してPCに入力していたのだろうか。よく医師が説明してくれたものだ。いや自分で全部調べたのだろうか。などと考えながら病院を出た。
血液検査、検尿、検便、CTスキャン、X線検査まで、検査データは膨大である。あの物理学者は全部入力していたのだろうか。彼は自分の死について科学的に理解したいがため、データを記録したとテレビは解説していた。自分の容態が悪くなっていく過程を検査データを元にグラフ化するなんて、自分にはできない。そのつもりもない。そもそも検査データは病院のサーバーにあるはず。グラフ化したければ病院からデジタルデータを転送してもらえば、グラフ化も簡単だったろうに。つい老婆心から考える。個人情報だから病院がデジタルデータを出すとも思えないが。
科学者はデータが元だ。ジャーナリストもデータが元だ。同じようにデータを元にした職業でありながら、こうも違う。
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