10年以内にパネル交換しなければならない確率13%。そんなところだろうと思っていた。家庭の屋根に設置した太陽光発電パネルの故障率である。日経ビジネス7月13日号にあった。産業総合研究所の調べだそうだ。
政府と自治体の補助金があるから、1軒あたり130万円くらいで太陽光発電パネルが設置でき、余剰電力買取制度も加われば、初期投資は10年以内で回収できると、どのメディアも報じていた。それは保守費用がゼロという前提での見込みでしかない。
10年で13%のパネルが故障したら、パネルの投資総額は150万円になるし、工事費がまた上乗せされる。故障期間中発電能力は落ちるから回収期間はさらに伸びるはず。直流を交流に変換するコンバーターの故障率はもっと高いらしい。楽観的な見通しに騙されてはいけない。
設置した個人が屋根に上って保守するのはとても危険だ。いずれ太陽光発電パネルの量産効果が出て、価格は安くなると見られている。パネルの値下がりと保守点検制度の充実を待ってから設置しても遅くはない。
以前にも指摘したが、ビルの屋上や遊休地にパネルを並べた売電目的の太陽光発電事業から全量を買い取ることにするのが妥当ではないのか。所得の高い個人が設置するのに反対はしないが、私のような年金生活者が老後のコスト削減のために、なけなしの貯金をつかってパネルを設置するのは考えものである。
太陽光は通常十年ぐらいメーカー保障がありますよ。
十年以内ならパネル交換しようがパワーコンディショナー修理しようがちゃんと元が取れます。
ただそれ以降故障すればマイナスになることも・・・
まぁお金はともかく、交換率が高いと「環境負荷の低減」っていう本来の目的から逸脱してしまいますね。
投稿情報: 少年 | 2009年8 月16日 (日曜日) 01:15
私の家にも売込みが頻繁にあります。「10年で元が取れますよ」とセールスマン氏は言うのだけれど、25年も前に建てた家だから、屋根を支える柱が荷重に耐え切れない。屋根まで改造するとなると、今度は1階の壁や柱、最後は基礎まで影響が及ぶ。ということを理由に、いつもお断りしています。このテーマは、個々人が対応する話じゃなくて、都市の構造、社会の構造の話なんじゃないでしょうか。
かつてコンピュータ(当時は「電子計算機」)産業を振興するために、国策として、国や自治体が国産コンピュータを購入した。そのためにJECCというレンタル会社を作ったり、日本ソフトウェアという会社を作ったりした。自由貿易の観点からすると、非関税障壁ということになるのだが、太陽光発電装置が同類とは思わない。外国製の装置だって、一般公開調達で入札すればいい。
まずは国や自治体が採用する。例えば霞ヶ関の庁舎や国会議事堂、議員会館、公務員宿舎、役場、学校、公民館、図書館などの空き地や屋上に取り付けて、自分たちの消費量をまかなった余剰を売電する。民間の大手にも協力を求める。売電した額を歳入に繰り入れて、税金の引下げにつなげる努力をする。そうやって製造コストを引下げ、故障率を下げてから民間に普及させる。そういうことじゃないと、普及しないんじゃないですか。
投稿情報: 佃 均 | 2009年7 月10日 (金曜日) 17:29