この夏、わが家の冷蔵庫はスイカで占領された。尾花沢のスイカを2個いただいたからだ。一家3人では食べきれない。高校野球を見ながら、食べに食べた。
冷蔵庫に余裕ができたころアフガニスタンの大統領選挙も終わった。カルザイが再選されるらしいが、これでアフガンに平和が戻ると見る人はほとんどいない。スイカを食べながらアフガン関連のニュースを見たり、読んだりするにつけ、こう思った。アフガンのハルブザをもう一度食べたい。
アフガンの主食は小麦で作ったナンだが、ブドウとハルブザという果物も特産品である。ソ連の侵攻と続く内戦以降、農民はブドウやハルブザを作っているのかどうか、ほとんどニュースは流れてこない。
ハルブザというのはスイカと同じウリの一種で大きさも同じくらい。甘くてすっきりした味の果物で、あのマルコポーロも世界で最もうまい果物だと東方見聞録に書いているそうだ。私も同感だ。だから死ぬまでにもう一度食いたいのだ。
かつて農水省になぜ輸入しないのか、聞いたことがある。中国西域の同種の果実(名前は忘れた)が輸入されたが、ミバエが検疫に引っかかって輸入禁止になったことがある。「もう大丈夫なはずです」といっていた。
実はアフガンのハルブザは他産地の同じ品種よりはるかにうまい。アフガンから航空機で旧ソ連に帰国する連中はみなハルブザを土産に抱えていた。アフガンと隣接する旧ソ連の中央アジア諸国でも作付けされていてもアフガンのハルブザには味でかなわないそうだ。
アフガンの和平には、自立した経済体制を作る必要がある。戦乱で農業どころではなく、多くの農民が換金性の高い大麻を栽培しているらしい。それがテロリストを養う資金源になっているとも聞く。だったら、日本がハルブザをたくさん輸入したら、経済再建に資するはずだと考えているのだが、まだ輸入した話は聞かない。
22日の朝日新聞によると、11月に東京でアフガン和平会議が開かれるらしい。きっと日本の軍事的貢献が求められるのだろう。だが、軍事的貢献で平和が達成できるのだろうか。アフガンはもともと遊牧民出身の民族が多い。彼らは勇敢で独立心が強く、平和な時代だったころも銃をかついで闊歩していた。彼らを力づくで和平のテーブルにつかせるのは難しい。
ハルブザ、ブドウなど輸出農産物で生きていけるようになれば、大麻を生産する農民も減る。それでテロリストの資金源を断つ。遠回りかもしれないが、それが日本の貢献になるのではないか。軍事的に貢献したいのなら、ハルブザを栽培する農民を護衛する。そのためなら自衛隊派遣に反対しない。
平和だったころ、アフガンに滞在して多くの人に世話になったから、今度こそ平和を回復してほしいとスイカを食べながら願っている。
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