セールスフォース・ドットコムのセミナーをのぞいた。ホテルの大宴会場が満杯だった。マーク・ベニオフ会長兼CEOの話を聞きたかった。講演の内容は知っていることが多かったが、講演の中でユーザー企業代表が相次いで登壇、ベニオフ会長とクラウドのどこがいいのか、会話する場面があった。その中の一人に経産省の前田情報経済課長がいた。クラウドを経産省がどう利用しているか、電子政府にどう利用するかについて語った。エコポイント制度がいち早く導入できたのは、セールスフォースのおかげだったとも語った。2言3言だったが、前田課長の登壇は明らかに経産省が外資クラウドをエンドースしていることを見せ付けていた。
かつては日の丸コンピューターを推進、外資を目の敵にした通産省、現経産省が外資の情報サービスを応援するなんて。目を疑った。いまや内資、外資を分けて考えるのは時代遅れとは承知している。だがクラウドでは圧倒的競争力を持つセールスフォースを経産省が応援する必要があるのか、疑問は残る。国内産業振興は経産省の大事な仕事である。無条件で外資を応援できるのだろうか。国内企業がクラウドに出遅れているから、刺激を与えるために登壇したのだろうか。
クラウドは成長市場である。セールスフォースも創業10年で10億ドル企業に急成長した。第二のマイクロソフト、グーグル的存在である。このままでは外資に独占されるのはあきらかである。
同社は駐車禁止の交通標識をもじったソフト禁止のロゴを使っている。自分でソフトを開発する必要はないし、自分で購入する必要もないサービスであることを象徴しているのだ。ユーザーにとってはコストダウンになる、開発期間も短縮できるありがたいサービスである。しかし、ソフト技術が不要になったわけではない。クラウドの向こう側には高度なソフトが隠されているはずだ。外資クラウドに依存することは、国内のソフト産業を壊滅させる可能性がある。国内産業保護を主張しているのではない。ITは安く使えればいいという考え方は短絡的であり、ソフトの人材は国内で育たなくなり、ひいては日本の将来を危うくする。その点経産省はどう考えているのだろうか。
anomyさん
訂正しました。
投稿情報: junhara | 2009年9 月16日 (水曜日) 19:30
1兆円企業??そんなにいっていないと思いますが・・・
投稿情報: anony | 2009年9 月16日 (水曜日) 19:16
佃さん
民主党も自民党もIT戦略なんかありませんから、深読みしすぎではありませんか。
石炭から石油への転換は経済的、技術的に不可避だったのに対して、日本のソフト地盤沈下は明らかに政策の失敗です。
投稿情報: junhara | 2009年9 月15日 (火曜日) 23:58
民主党もそんなことを考えているのかな。それを手土産に米軍基地問題で妥協を引出すんでしょうか。そこまで戦略的ならそれはそれでいいけれど(だからといって、それでいいとは言わないけれど)、このままだと国内のソフト技術はなくなってしまう。「石炭から石油への変化に相似する地殻変動」という記事を書いたんですけど、ムムム…という感じですね。
投稿情報: 佃 | 2009年9 月15日 (火曜日) 22:17